フォルクスワーゲン

旧世代フォルクスワーゲンの定番 タイミングベルトのメンテナンス

見た目はただのベルトだが、エンジンにとって重要な役割を担っているタイミングベルト。劣化したまま放置しておくとエンジンを壊してしまうこともあるので、定期的に交換するのが鉄則だ。

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昔はタイミングチェーン駆動が主流だったが、振動が少なく軽量なタイミングベルトが登場したことで、ベルト式に移行するクルマが増えていった。静粛性の高いクルマを作るには有利だと言われていたのである。しかし現在では「サイレントチェーン」と呼ばれる静粛性の高いパーツが開発されたことや、絶対的な耐久性でベルトに勝るということから、再びチェーン式が主流になっている。
さて、旧世代ドイツ車の中でタイミングベルトを装着しているのは、フォルクスワーゲン、アウディ、オペルがメイン。また、ポルシェの水冷4気筒モデルとBMWの一部でもベルトを使用しているクルマがあるが、ここではフォルクスワーゲンを例に見ていこう。
タイミングベルトとは、クランクシャフトの回転をカムシャフトに伝えるためのベルト。また、カムシャフトを駆動させるだけでなく、これによってピストンの上下とバルブ開閉の同調(タイミング)を取る役割も担う、エンジンの生命線とも言えるパーツだ。
カムシャフトとクランクシャフトのプーリーには、それぞれ歯形のギアが組み込まれていて、その歯形とかみ合ったコマによってタイミングベルトは回転している。ところがこのベルトが劣化すると、かみ合っているコマが飛んでしまうというトラブルが発生する。いわゆる「タイミングベルトが切れる」というのは、ベルト自体が切れる以外に、このコマ飛びのケースが非常に多い。
コマが飛んでベルトがスリップすると、ピストンとバルブの同調が狂ってエンジンが動かなくなる。そればかりか、エンジンによってはピストンにバルブが衝突し、折れ曲がったりしてしまう。
その場合、エンジンにあまり負荷をかけていない状況でのトラブルならバルブ側の交換作業、すなわちエンジンヘッドのオーバーホールで済むことが多いが、逆に高回転時にやってしまうとピストンにも大きなダメージを与えてしまうため、フルオーバーホールの必要も出てくる。ベルト切れやコマ飛びなどは予告なく起こるものなので、これを防ぐには定期的にベルトを交換することが何よりの対策となる。
ドイツ車の場合、タイミングベルトはカバーに覆われていることが多いため外からは見えにくいが、このカバーは簡単に外すことができる。
基本的なチェック方法は他のベルトやゴムパーツなどと同様、目で見てヒビ割れや亀裂などを確認したり、指で押して張りを確かめたりする。しかし素人には細かいヒビや亀裂などを見分けるのはやや困難なので、判別のひとつの目安として「ベルトに印刷されている文字(メーカー名やサイズなど)が読めるかどうか」を基準に見てもいいだろう。一般的には走行距離が6万㎞を超えたあたりから、交換を考えるのが良い。

タイミングベルトの交換時には関連パーツも換えた方が効率的

タイミングベルトを交換する際には、テンショナープーリーも同時に交換するのがお約束。
このテンショナーも、長い間使用していくうちに劣化していき、内部のベアリングにガタが発生したりする。それがベルトの消耗を早める原因となったり、さらに最悪の場合はテンショナー自体がロックしてしまい、それによってベルトが切れてしまうというケースもある。このように、テンショナー自体のトラブルも比較的多いので、ベルトとセットで交換しておきたいところだ。
また、生産から10年以上経過しているようなドイツ車は、クランクプーリーやカムシャフトシールなども点検しておきたいポイント。クランクプーリーはゴムブッシュが間に挟み込まれているものが多く、このゴムが劣化するとプーリーが空回りしてしまうことも。そうするとオルタネータやエアコンコンプレッサーなど補機類が駆動できなくなるなどのトラブルが起こる。
カムシャフトシールの方は、劣化してオイルが漏れ出すと、それがベルトに付着して劣化を促進させることにもなりかねない。いずれもタイミングベルトを外した際に確認してみて、必要ならばいっしょに交換しておいた方が安心だろう。
ウォーターポンプは、冷却水を循環させている水回りにおける重要なパーツ。ポンプのシールが劣化して冷却水が漏れ出したり、ポンプの回転軸にあるベアリングにガタが生じて循環性能が悪化すると、オーバーヒートに陥る危険性がある。また、異音が発生することもあるので、ベルト回りから音が出ていないかを日頃からチェックしておきたい。
一般的な交換サイクルの目安は約6万㎞。これは先に述べたようにタイミングベルトの寿命と大体同じ時期であるということ、また、ウォーターポンプを交換する場合の多くはタイミングベルトを外さなければならないという理由から、ベルト交換の際には同時にウォーターポンプも交換してしまった方が安心感が高いし、工賃も節約できるのである。Vベルトも外すついでに新品に交換しておくと安心感が高い。
見た目は単なるゴムベルトだが、回転力をエンジンや補機類に伝える重要な役割を担っているのがタイミングベルト。劣化を放置しておくと突然トラブルが発生してエンジンがかからなくなったり、エンジン本体に大きなダメージを与えてしまうこともある。部品代はそれほど高くはないので、ベルトがコマ飛びや切れてしまう前に予防整備しておくことが大切だ。

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テンショナーが当たる部分では、コマの状態を見ることができる。山が減っているものはコマ飛びの原因となるので注意が必要だ。
ウォーターポンプとタイミングベルトの交換サイクルは同じで走行6万kmが目安。ポンプが劣化すると異音や水漏れが発生する。

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