MINI

MINI「サーモスタットハウジング」の劣化と対策

―「小さな異変」が「高額修理」に変わる前に―

目次

BMW系MINIにお乗りの皆さま。走行中に水温計が安定しない警告灯が点灯した、あるいはエンジンルームから異臭や蒸気が…といった経験はありませんか?
その原因、実はサーモスタットハウジングのトラブル
かもしれません。

サーモスタットハウジングとは、エンジンの冷却水の流れを制御する「心臓部」のような役割を果たす部品。MINIでは、樹脂製のハウジングが経年劣化や熱ストレスによりひび割れ・漏れを起こしやすく、それが冷却水漏れやオーバーヒートの原因になるのです。

BMW系のMINI(特にR56、F56など)では、サーモスタットハウジングが一体型構造になっており、樹脂部品が複雑な水路を形成しています。さらに、高温状態と圧力変化に常にさらされる構造上、3〜5年または5〜7万kmでクラックや変形が生じるケースが少なくありません。

また、オルタネーターやベルト周辺にも冷却水が垂れ込む構造になっているため、発見が遅れると冷却系以外の補機にも影響が及ぶ恐れがあります。

【事例1:F56/走行距離78,000km】
エンジンチェックランプが点灯、冷却水も減っていたが目立った漏れは見えず。点検の結果、ハウジング下部の樹脂パイプ接続部からにじみ漏れを確認。サーモスタットハウジングとウォーターポンプを同時交換。
部品代:28,000円前後+工賃
→ 放置していたらオーバーヒート、ヘッドガスケット損傷の恐れあり。


【事例2:R56クーパーS/走行距離91,000km】
冷却ファンが頻繁に回るようになった。点検すると、ハウジングとサーモスタットの継ぎ目から水蒸気と冷却水のにじみ。冷却水がリザーバータンク内に泡立っており、冷却機能が低下していた。
リザーバータンク交換も含め費用総額約6万円

MINIのサーモスタットハウジングは、目視点検で劣化を見極めるのが困難な部品です。
そのため、以下のような兆候が見られた場合は早めの点検をおすすめします。

  • 冷却水の減りが早い

  • 水温が安定しない/上昇しがち

  • ファンが頻繁に作動する

  • エンジン下に冷却水跡(白い粉)

推奨交換時期:5万〜7万km/5年目の車検時を目安に

また、社外品より純正品または信頼性の高いOEM品を選ぶのが安心です。
近年はアルミ製強化ハウジングも登場していますが、車両との適合確認が重要です。

▶ 整備士のひとことアドバイス

MINIオーナー様の多くが、「冷却水が減っている=漏れている」とは思わず、リザーバータンクに補充して様子を見る傾向があります。ですが、それがトラブルの前兆であることが多いです。
実際の現場でも、補充して1ヶ月以内に大きなトラブルへ発展するケースが非常に多いです。点検の際は「ハウジングを起点とした漏れの有無」に注目してください。


▶ MINIを「長く、大切に」乗るために

愛着のあるMINIを、トラブルに悩まされず長く乗り続けるためには、「小さな変化」を見逃さないことが肝心です。
冷却系の不調や警告灯の点灯が気になる方は、ぜひ一度、信頼できる整備士に相談を。

部品情報

互換性について

対象車種 型式 純正部品番号(例) 備考
MINI R56系 DBA-MF16S など 11537534521 サーモスタットASSY一体型
MINI F56系 DBA-XM15 など 11538636574 電子制御式ハウジング

※年式・グレードにより適合が異なるため、VINコード(車台番号)での照合が確実です。

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