理想的な重量配分が生み出す気持ちの良いハンドリング
BMWの代名詞とも言えるFR(後輪駆動:後ろのタイヤが動く仕組み)セダンのスポーツ性をさらに磨き上げたのが、G20型3シリーズです。「CLAR(クラスター・アーキテクチャー)」と呼ばれる新世代のシャシー(車の土台・骨格)を採用したことで、車全体の頑丈さを大幅にアップさせながら、アルミなどの素材を使って軽量化を達成しています。
実際にステアリング(ハンドル)を握って走り出すと、車との一体感に驚かされます。BMWがこだわり続ける「前後50:50の理想的な重量配分」のおかげで、カーブの手前でハンドルを切り始めた瞬間から、ノーズ(車の先端)が遅れることなくスッと正確に向きを変えてくれます。日本のタイトな交差点やワインディングロード(曲がりくねった山道)でも、自分が狙った通りのラインをピタリとトレースできる爽快感は、この骨格だからこそ味わえる特権ではないでしょうか?
新開発のダンパーが実現するしなやかな乗り心地
G20型には、路面の状況やサスペンションの沈み込み量に応じて、ショックを吸収する力を機械的に自動調整する「リフト関連ダンパー」が装備されています。
これにより、街乗りでマンホールの凹凸や舗装の継ぎ目を低速で越えるときは、ゴツゴツとした不快な突き上げを巧みにいなして車内を快適に保ちます。一方で、スピードが乗る高速道路でのレーンチェンジ(車線変更)やコーナリング時には、車体のロール(左右の傾き)をピタッと最小限に抑え込みます。常にタイヤが路面に吸い付いているような高い安定感があるため、同乗者にとっても疲れにくいフラットな乗り心地を実現しています。
目次
2.0Lターボエンジンと8速ATが織りなすスムーズな加速フィール
低回転から力強く湧き上がる扱いやすいパワー
試乗した320iに搭載されているのは、2.0L直列4気筒の「ツインパワーターボ」ガソリンエンジンです。このエンジンは、日本の道路環境で最もよく使う日常の回転域での扱いやすさが徹底的に追求されています。
アクセルペダルをほんの少し踏み込むだけで、タコメーターの針が低い位置(1,350回転という実用域)にある状態から力強いトルク(車を前へ押し出す力)が発生します。そのため、ストップ&ゴー(発進と停止)が多い都市部でもモタつくストレスが一切なく、右足の動きに連動して滑らかにスピードが立ち上がります。ターボ特有の時間差(過給の遅れ)をほとんど感じさせない素直なレスポンスが、日々のドライブをとても洗練されたものにしてくれます。
変速のショックを感じさせない熟成の8速AT
このエンジンに組み合わされるのが、世界の高級車がこぞって採用するZF製の8速オートマチックトランスミッションです。ギヤの繋がりは非常に滑らかで、普通に街を流している最中は、メーターの針を見ていなければいつ変速したのか気づかないほどの完成度を誇ります。
ドライブモードを「スポーツ」に切り替えると、そのキャラクターは一変します。シフトパドル(ハンドルの裏にある変速スイッチ)を引いた瞬間に電撃的なスピードでカチッと変速が完了。減速時には「ブリッピング(自動でエンジン回転数を合わせる制御)」を行い、常に力強い加速ができるギヤをキープしてくれます。ドライバーの「元気に走りたい」という意思にピタリとシンクロする賢い制御を見せてくれます。
日本の公道環境で体感するプレミアムセダンの高い実用性
扱いやすいサイズ感と高精度な運転支援システム
G20型は先代モデルよりも一回り大きくなりましたが、全幅は1,825mmに抑えられており、日本の一般的な立体駐車場や狭い路地でも扱いやすいサイズ感を維持しています。四角く見切りの良いボンネット形状のおかげで車両感覚が掴みやすく、大柄なセダン特有の運転しにくさは全くありません。
さらに、フロントガラス上部に配置された「3眼カメラ」を含む進化した運転支援システム(ドライビングアシストプロフェッショナル)が、日常の移動を強力にサポートしてくれます。渋滞時のハンズオフ機能(一定条件下でハンドルから手を離せるシステム)やアダプティブクルーズコントロール(前走車への自動追従)の制御はとても賢く、ブレーキや加速の入り方が人間の感覚に近いため、長距離ドライブでのドライバーの疲労感は驚くほど軽減されます。
五感に響く上質な車内空間と走る歓び
キャビンの静粛性の高さも特筆すべきポイントです。フロントガラスだけでなく、サイドのドアガラスにも遮音性の高いガラスを採用したことで、不快なロードノイズや風切り音が徹底的にシャットアウトされています。静まり返った室内において、アクセルを深く踏み込んだときだけ心地よいエンジンサウンドが適度なボリュームで響く演出は、BMWらしく計算され尽くしています。日常の使い勝手の良さと、FRセダンならではのピュアな「走る歓び」が高次元で融合された、乗るたびにオーナーとしての満足感を満たしてくれる一台と言えます。
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