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駆動系パーツの重要ポイント! デフからのオイル漏れを放置するのはNG

デファレンシャルギアは「デフ」と呼ばれることが多い部位ですが、ドイツ車ではここからのオイル漏れや下回りから異音などが発生することがあります。駆動系パーツにおける重要な部位なので、異常があれば放置することはできないポイントです。その理由とは?

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目次

デファレンシャルギア(以下、デフ)は、クルマが曲がるときに生じる外側と内側のタイヤの速度差を吸収して、スムーズに曲がれるようにする役割を持っている。デフは駆動輪に備わっており、FF車ならフロント、FR車ならリア、4WDならフロントとリア、さらに前後の回転差を吸収するセンターデフが備わるクルマもある。これはフルタイム4WDと呼ばれるもので、エンジンからの出力がセンターデフから前後のデフに配分される仕組みになっている。
デフの構造自体はシンプルなもので非常に耐久性が高いが、やはりオイル漏れには注意が必要。比較的新しいうちは滲み程度で済んでいたものの、時間の経過とともに悪化して本格的なオイル漏れとなってしまうケースが多い。
漏れが発生する場所としてもっとも多いのが、左右のドライブシャフトに繋がるフランジをシールしているサイドシール部分。プロペラシャフトと接続されるミッドシール部分から漏れることもあるが、こちらの頻度は高くはない。また、通常ならばリアカバーのシール部分から漏れることはまずないが、以前に一度デフを開けているような場合は接合面の清掃が不十分でシール剤のカスが残っていたりして、そこから漏れ出すケースも考えられる。
クルマをリフトアップしてデフのサイドシールやミッドシールからの漏れを発見したらきっちりと交換しておくことが大切だ。オイル漏れに気づかずに、または放置したまま走行を続けると、油圧が低下しデフ内部のギアが焼き付きを起こしてオーバーホール(分解整備)が必要になる。
そのほかにも大きな異音の発生や低速のコーナリング時に振動が出るなどといった症状が出た場合にもオーバーホールが必要だ。これは、ギア同士の噛み合い具合(歯車の遊び幅)が適正ではなくなった時に発生し、オーバーホールと同時にバックラッシュの調整をしなければならない。ギアの噛み合い具合が適正ではなくなってしまうのは、デフ内部のベアリングやシム、金属ブッシュなどのわずかな摩耗が積み重なり遊び幅が大きくなってしまうことにある。ベアリングなどが摩耗するのは、オイル管理が悪いまま長期間使用することが原因だ。オーバーホール時にはそれらの部品を交換し、適正な遊び幅に調整することが基本的な内容となっている。
このように、ゴムシールの交換だけで済むはずが、オイル漏れを放置したことでデフ内部に深刻なダメージを与えてしまうことがあるということを知っておいてほしい。それを防ぐためにも1年ごとに下回りの入念な点検を行い、オイル漏れの有無を確認しておけば、ギアが焼き付きを起こすまでには至らないケースが多い。

オイル漏れを放置して走行を続けるとベアリングなどにダメージを与えてしまい、オーバーホールが必要になってしまう。

サイドシールの交換は
時間とコストがかかる作業

サイドシールを交換する場合、デフ本体を降ろさないと作業ができない車種も多い。左右のドライブシャフトに備わるサイドシール、プロペラシャフト側のミッドシールと合計3つのゴムシールを交換するには、フランジを取り外して古いシールを外し、新しいシールを取り付けてからねじれないように注意してフランジを組み付ける。こうして書いていくと簡単なようだが、実際は案外時間とコストのかかる作業なのである。
また、デフを降ろしたときには内部の状態を確認し、ベアリングなどの交換も同時に行なった方が経済的であることは確かだ。FR車の場合は、交換頻度が低いリアのドライブシャフトブーツの交換も同時に検討したい。4WDシステムを搭載しているクルマにはセンターデフが採用されている場合もあり、ここにもサイドシールが使われている。オイル漏れを起こしやすいポイントなので、駐車場に停めてオイル漏れの痕跡があるようなら早めに修理工場で点検してもらおう。また、4WDモデルはトランスファーのシール交換も忘れないようにしたい。

 

新しいサイドシールを打ち込んだところ。ゴムシールの交換といってもクルマからデフを降ろしてからの作業になるため時間はかかる。

デフマウントを
同時に交換しておくと効率的

サイドシールのほかに、年式的にも交換しておくべきなのがデフマウント。これはボディ後部のサブフレームに、ムービングパーツであるデフを固定しているゴムマウントで、回転によるぶれや振動を吸収する緩衝材としての役割が持たされている。その劣化状態は、デフの後方から見てマウントのボルト穴が上下左右にズレていないか、マウントそのものが硬化して亀裂が入っていないか、などから判断する。
劣化の症状としては急加速や変速時などにリアから異音がした場合、このマウントが劣化してデフ自体が動いてしまっている可能性が高い。それだけに定期的なチェックが欠かせないのだ。
例えばクルマにもよるが、リアのサブフレームに圧入された2つのリアマウントと、2枚の薄いマウントでクロスメンバーを挟むように取り付けるフロントマウントの4つで構成されている場合、支持ポイントは3カ所。問題なのは圧入されているリアマウントで、この交換にはSSTという専用工具が必要になる。マウントには上下の指定や裏表もあり、曲がって入ってしまうとデフが振れて非常に危険。指定の位置にキッチリと収めることができるSSTを使って確かな作業をしてくれる工場を探したい。デフのサイドシール交換などを行なうときには、周辺の部品も含めて全体的にリフレッシュしておくと効果が大きい。セットで行うことで工賃の節約にも繋がるのだ。

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