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冷却系の要! ラジエターのメンテナンス

エンジンを冷やすという重要な役割を担っている冷却系パーツ。その要といえるのが、ラジエターです。新車から10年以上も経つと、経年劣化などにより冷却性能が極端に低下してしまいます。この記事では、効果的なメンテナンス法について解説します。

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目次

新車から10年以上も経つと、ラジエターの冷却性能は落ちてくる。ラジエターは水回りの要であり、水温にも大きく関わってくるためきっちりとメンテナンスしておく必要がある。エンジンは最適な温度で動かしてやらないと各部に大きな負担をかけてしまうから、性能が低下したラジエターを使い続けて慢性的に水温が高めになると、思わぬ重大トラブルに繋がる可能性も否定できない。 もちろん、水温の上昇はラジエターだけが原因というわけではないけれど、LLCを冷やすラジエターの仕事というのはクルマにとって非常に重要なのだ。
では具体的にラジエターがどんな仕事をしているかというと、エンジンからウォーターポンプによって送られてきたLLCを、細い管の中を循環させて冷やす。熱交換器とも言われるもので、熱を放出するフィンと水の通り道であるチューブを通じて冷却を行うのだ。このフィンとチューブで構成されている部分がいわゆるコアと呼ばれるもので、その両側にはタンクが備わり、高温の冷却水を一時的に蓄えるようになっている。ラジエターはクルマの前面に装着されており、走行風を受けることと電動ファンによっても冷やされる。ラジエターによって冷やされたLLCはエンジンの水路(ウォータージャケット)に戻り、エンジンの熱を奪った後に再びラジエターに戻る。その過程にはサーモスタットがあり水の流れを制御しているのだが、基本的にはこの繰り返しによってエンジンは最適な温度を保つことができるのである。
このように重要な役割を担うラジエターだが長期使用により性能が低下してくる。例えば、フィンとチューブで構成されるラジエターの水路が目詰まりを起こすというパターン。水垢などが蓄積してしまうことが原因で冷却性能が低下してしまうのだ。また、コアとサイドタンクの接合部分に亀裂が入って水漏れを起こすというのは多くのドイツ車で定番のトラブル。クルマによってはサイドタンクのみを交換することもできるが、これまで一度もラジエターを交換していないようであれば、二度手間を回避するためにも本体も含めてリフレッシュしておいたほうが得策。
ラジエター内部にサビが発生して水路を狭めてしまうこともある。LLCはエンジンを冷やすだけではなく、凍結を防ぐ不凍作用や防錆成分なども含まれている。LLCの性能は昔に比べて格段に向上しており、交換サイクルが長めに設定されているものもある。だが、ラジエターは長年の使用により水垢やサビが発生し、水路を塞いでしまうことにより冷却効率が低下してしまう。それを防ぐために2年に1回LLCを全量交換しておけば、防錆剤により冷却水路にサビが発生することを防ぎ、消泡剤の劣化による冷却能力の低下も抑えられるのだ。
DIYでLLCを交換する際には古いLLCを抜いて、水を足してまた抜くという作業を繰り返し、水が透明になってきたら新品のLLCを注ぐわけだが、できれば水道水ではなく不純物を取り除いた精製水を使用した方が良い。水道水に含まれる塩素やカルキが付着した蛇口をキレイにするのが大変なように、長期使用のラジエターやウォータージャケットには、カルキの結晶のような異物が水路を狭めていることも少なくない。LLCの希釈に精製水を使用すれば、水道水を使用するよりも水路に水垢が溜まりにくくなる。
ラジエターの交換作業自体はそれほど難しいものではなく、ラジエターに備わるホースも含めて新品に交換しておきたい。ゴムホースは経年劣化だけでなく、熱によっても劣化が進行するのでこの機会にリフレッシュしておくことがポイントだ。

エンジン内を循環している冷却水を冷やすのがラジエターの役割。新車から10年以上が経過してくると経年劣化により冷却能力が低下してしまう。
ラジエターを交換するときは周辺のゴムホースも新品に交換しておきたい。経年劣化によって弾力を失い硬化しているクルマも少なくない。

ラジエターだけではなく
関連パーツもリフレッシュしておきたい

樹脂製のサブタンクに亀裂に入ってしまうことも多い。これはドイツ車でも多く発生しているトラブルで、内部から少しずつ亀裂が進み突然割れてしまうのがお約束のパターン。水が漏れ出せばオーバーヒートの危険もあり走行不能になってしまうため、これまで一度も交換していないようであれば予防整備しておくと安心だ。部品代もそれほど高くはない。
サイドタンクにATFクーラーを内蔵しているクルマの場合、水温の上昇に引っ張られてATFの油温も上昇してしまうケースがある。とくにV8以上の大排気量モデルではその傾向が強い。ATFの温度が上昇すると、AT内部のゴムシールやクラッチディスクなどの寿命が短くなり変速不良やオイル漏れなどの原因になる。一般的にATFの温度は80~90℃が理想とされているから、ラジエターの冷却性能が低下して水温が慢性的に高くなれば知らない間にATを傷めてしまうことも十分に考えられるのだ。
もちろん水温の上昇はラジエターだけではなく、ラジエターキャップから圧力が逃げている、サーモスタットが壊れて全開になっていない、縦置きエンジンならばファンカップリングの劣化やファンブレードの欠損、横置きならば電動ファンの能力の低下など、色々な原因が考えられる。素人考えで早合点せずに、まずは信頼できる技術力のある工場に相談してみることが大切だ。OEMパーツがいくら安くても、何の問題もないラジエターを交換するのはもったいない。問題点が特定できた段階で、使用する部品を考えればいい。

今回のようなメンテナンスに関する詳しい修理方法はプロに聞くのが一番!

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ラジエターのサブタンクは経年劣化により亀裂が入ってしまったり、突然割れてしまうことがあるので、予防整備しておきたい部分。
現代のエンジンは最適な水温が保たれるように電子制御しているが、これらもセンサーなどの情報を元に制御を行っている。それゆえ、水温が異常だとしてもその原因がラジエターとは限らない。そのクルマに詳しい修理工場で点検してもらうようにしよう。

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