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クルマの電気を蓄えるバッテリーのメンテナンス

クルマの電気系統における縁の下の力持ちともいえるのがバッテリー。じつはこれ、クルマの発電機であるオルタネータと深い関係にあり、高価なオルタネータの寿命を延ばすためにも重要な部位なのです。この記事では、バッテリーの構造的な特徴とメンテナンスの重要性について解説します。

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目次

電気を一時的に蓄えて、必要な時に放出するダムのような役割をしているのがバッテリー。エンジンを始動する時のエネルギーは、すべてバッテリーから供給される。
バッテリーの内部は鉛の電極板が収まった層になっていて、1層で約2V、6層が直列につながって12Vの電圧になっている。最近は密閉式も多くなっているが、この基本構造は変わらない。6Vなら3層構造だ。
ドイツ車といえば巨大なバッテリーを積んでいるイメージがあるが、これは温度が低いと始動時の放電能力が低下してしまうためで、寒冷地のドイツを基準にしているため普通でも60A以上、モデルによっては100Aもあるバッテリーを搭載している。
大型のバッテリーは当然ながら高価なので、ディーラーで定価を聞くと3万円を超えることも珍しくないが、最近はOEMブランドのバッテリーがインターネットで出回っているので、これを利用するのがお得。返送によって廃バッテリーの引き取りを行なってくれる通販業者を選ぶのがポイントだ。
バッテリーの能力は、電極板にサルフェーションと呼ばれる硫酸鉛の結晶が付着することで低下する。この主な原因は、過度の放電、そして充電を繰り返すこと。乗らずに放置されていることが多いクルマや、エンジンを始動しない状態でカーステレオなどの電装品を使用することが多いと、過度の放電となってしまい、次にエンジンを始動した時に不足分を取り戻すべく充電をすることになる。バッテリーを長持ちさせるには、なるべく一定の電流を保つようにすることが大切だ。
また電極のサルフェーション化を電気的に防止する装置も色々と市販されていて、これの装着によりディーゼルモデルのメルセデスでバッテリーが10年間持ったというユーザーもいる。液量不足などのトラブルによるダメージがなければ、理論上は10年近く持つというバッテリーだが、実際にこれだけ持ったのは延命装置が利いていると思っていいだろう。
近年のドイツ車では、コンピュータ制御が多用され、それぞれに学習機能が持たされているため、メモリが消滅してしまう停電は禁物。そこで用意されているのがバックアップ用のサブバッテリー。メインバッテリーが上がってしまったり、交換のため取り外しても、途切れることなく電気を供給している。それだけに、何か電気系の作業をする時は要注意だ。

バッテリーを急速充電する時はターミナルを外して行なわないと、オルタネーターのレギュレータを壊してしまうことがある。
ターミナル部分が酸化すると抵抗が増して接触不良などの原因になるので、ヤスリなどで付着物を落としておく。

バッテリーのメンテナンスは
オルタネータへの負担を少なくする

クルマの発電機であるオルタネータは、回転する軸の電極に接触している接点部分があり、接触していることで摩耗する。スプリングによって押しつけられる構造になっていて、接点は削れた分だけどんどん押し出されるように長く作られている。エンジンが回っていた時間に比例して必ず摩耗する部品だ。最近のものは走行10万㎞以内でなくなることはまずないが、ネオクラシック世代や走行距離が多いクルマはブラシの交換を含めた、オルタネータの点検をしておくことが寿命を延ばすことに繋がる。
じつはこのオルタネータはバッテリーと深い関係にある。オルタネータはバッテリーに100%の充電をするために発電しているが、バッテリーが劣化していて仮に50%しか充電できない状態でも、オルタネータはそれを判断することができない。そうするとオルタネータは100%になるまで発電を続けるので大きな負荷がかかってしまうのだ。それが原因で、ICレギュレータが壊れてしまうケースもある。高価なオルタネータの寿命を延ばすためにも、バッテリーは定期的に点検して、その状態を把握しておくことが大切である。

今回のようなメンテナンスに関する詳しい修理方法はプロに聞くのが一番!

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