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【メンテナンスラボ】BMW E60に潜む“ステアリング角度異常”

〜〜〜〜〜見逃されやすいエラーが走行安定性を脅かす〜〜〜〜〜

目次

BMW E60(5シリーズ/2003〜2010年)では、「DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)警告」や「ハンドルの違和感」「直進安定性の不良」といった症状がきっかけで、ステアリング角度センサーの異常が発覚するケースが少なくありません。

一見すると足回りやアライメントの問題に見えるこれらの症状、実はセンサー信号のズレや断線によって、システム側が車両の動きを正確に把握できなくなっていることが原因のことも。

このセンサーはDSCやASC、さらにはアクティブステアリング(装着車)とも連携しており、異常を放置すると制御不能な状況を招くリスクもあるため、早期診断と正確な対応が非常に重要です。

症状 補足情報
DSC警告灯の点灯 特に急旋回や路面変化時に点灯する傾向あり。
ステアリングの戻りが悪い ハンドルセンターがズレて感じることも。
アライメント調整しても直らない 実はセンサー自体の異常が原因だったケース。

診断時は、診断機によるステアリング角度のリアルタイム表示が有効です。ハンドルを真っ直ぐにした状態で角度表示が±0°でない場合や、回転に対して数値がスムーズに変化しない場合はセンサー不良が疑われます。

BMW E60のステアリング角度センサー(通称SAS)は、ステアリングコラム内部に組み込まれたスパイラルケーブル(クラックスプリング)と一体化しているタイプが主流です。

▷部品構成の例(部品番号参考)

  • ステアリングアングルセンサー(32306793632 など)

  • スパイラルケーブルAssy(角度センサーと一体型)

  • 一部車両ではアクティブステアリング制御ユニットと統合

このため、センサー単体の交換はできず、アセンブリ交換+コーディング/キャリブレーション作業が必須となる点に注意が必要です。

あるE60前期モデル(走行11万km)では、車検整備後にDSCランプが点灯。アライメント調整を実施したが改善せず、診断機で確認したところ、ステアリング角度が+15°の状態で固定されていることが判明。

スパイラルケーブル交換後、角度センサーの初期化(ゼロ点調整)を診断機で実施したことで警告灯は消灯。症状も改善された。

しかし、再学習を省略していた場合は再点灯や誤動作が発生するため、専用診断機でのキャリブレーションは必須です。弊社の整備ネットワークでも、施工後の相談が多く寄せられるポイントです。

  • ハンドルのセンターがズレている気がする

  • DSC警告灯がついたり消えたりする

  • 左右のハンドリング感覚が違う
    こうした感覚は、車両からのサインかもしれません。ステアリング周辺の異常は、放置すると制御の不安定さや重大な事故のリスクにつながります。

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