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クルマの頭脳「コントロールユニット」のトラブル 修理事情

2000年代に入ってから自動車の電子化がより進むようになりました。

日本車もドイツ車のように世代が新しくなるごとに電子制御が進むようになりました。

近年の車はほぼすべての機能に電子制御が使われており、
エンジンとアクセルペダルを例に出すと、アクセルを踏むとエンジンの回転数が上昇しますが、
1990年代後半まではアクセルペダルにスロットルワイヤーというものが取り付けられており、これはエンジンのスロットルバルブと繋がっています。
アクセルが踏まれるとワイヤーが引っ張られ、スロットルバルブが開くことで、
エンジンの吸入空気量が増え、エンジンの回転数が上がるような仕組みです。

これが2000年代に入ると「スロットル・バイ・ワイヤ」と呼ばれる物になり、これは電気信号でスロットルペダルを制御します。
アクセルべダルには「アクセルポジションセンサー」が内蔵されるようになり、センサーの信号を受信した「エンジンコントロールユニット」が
その時に最適なスロットルバルブの開度の計算して信号を発信します。
その信号を受信したスロットルが最適な吸入空気量になるようにバルブをモーターで開いて、エンジンの回転数を上昇させます。
いわゆる電子スロットルです。

このようにアクセルを踏むという操作の中に電子制御があるように、
近年の車の様々な機能に「コントロールユニット」を使った電子制御が使われています。

今回は少し難しいかもしれませんが
ドイツ車におけるコントロールユニット修理事情についてご紹介いたします。

 

目次

まずコントロールユニットとは人間でいう「脳みそ」のような働きをしており、各部に取り付けられたセンサーからの
データを受信し、それを元に計算し、その状況にあった最適な動作を行うように設計されております。

これが「エンジン」「ミッション」「足回り」「電装関係」「安全装置」大きく分けてこの5つのセクションで構成され、またそれぞれの機能に対してユニットがつけられており
あるドイツ車の高級モデルの車両には1台あたり50個以上のコントロールユニットが取り付けられております。
このユニットがそれぞれ相互通信することにより、自動車が最適な運転性能や快適性を発揮するようにできております。

しかし、トラブルも多いのが現実で、熱や経年劣化、又はデータの破損で故障するケースが多く、
車種や交換するユニットにもよりますが数万円単位のものもあれば50万円以上するものもあります。

ユニットが破損してしまうと、データを受信、発信ができないので、
警告灯が点灯したり、走行や機能に影響を及ぼす場合がほとんどです。

 

故障の状況にもよりますが、新品に交換するか、データを入れなおすかこの2択がまず浮かんできます。

ユニットに物理的または熱により破損している場合は、交換しか方法はありません。
しかし、昨今の半導体不足により、部品在庫もかなり少ないのが現状です。

もう一つのデータの入れ替え、これは必ずやっておきたいことです。
もし内部データの破損が原因で不具合が発生している場合は、この方法で改善される場合があります。高額な費用を支払わなくて良くなります。

また内部データを定期的にアップデートすることで、後のトラブル予防にも効果的です。
しかしこの内部データというものは各メーカーが発行しているものですべてのデータはメーカー側で管理されております。

このデータを入力するには基本的に専用ツールが必要になりますので、お店にて修理する際に確認しておきたいポイントです。
これを行って、改善されなければユニットの交換を検討するべきでしょう。

ここまでは正規ディーラや修理器材が揃っている民間工場で行う修理方法です。

 

 

写真はメルセデス専用診断機 メルセデス車のユニットの状態確認や各種学習、調整が行える

それは、「中古ユニットへの交換」「ユニット単体修理」です。
これは少しリスキーですが、費用も安く済みます。

考えられるリスクというのは
中古のユニットはそもそも「他の車体に取り付けられていた」ユニットです。
モデルは同じ物でも車両一台ごとに「車体番号」というものが割り当てられており
コントロールユニット車体番号を記憶し読み取っています。
しかしこの車体番号を読み取ったときに記憶されていた番号と違うとそもそも作動しません。
取り付ける前に中古のユニットをフォーマット(初期化)する必要があります。

単体修理は読んで字のごとくユニットそのものを修理する事です。
これはかなり専門的な技術が必要になり、自動車整備工場とは別で修理業者が存在します。
整備工場ではその業者に依頼して修理をしてから車両に取り付けるという流れで修理をします。
またこのような業者では中古ユニットのデータ削除もできるところがあり、記憶されていた車体番号などのデータを削除してから
別の車両に取り付けて、車両とユニットを登録すると、正常に動作する場合があります。

この方法では修理費用も新品の交換と比べるとかなり安く済みます。

 

コントロールユニットの単体修理では 基盤の交換はもちろん、業者によっては、はんだの修正や、細かい構成部品の交換も実施している

ユニットの内部異常と判断された時はまず、内部データの再入力試してください。
これで改善されないければユニットの単体修理か、中古品の手配を検討してください。
それでも治らなければ、新品の交換を検討する必要があります。

ディーラでは基本的にユニットの書き換え、あるいは新品への交換を提案しています。
民間工場では中古部品への交換、ユニット単体の修理を提案してくれる工場もあります。

私たちは民間整備工場と輸入車オーナー様を結びつける活動も行っております。
輸入車オーナ様は下記のサイトにて整備工場を検索できます。
お近くの店舗、気になる店舗、または所有しているお車にお悩みなどがありましたら是非お問い合わせください。

 

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