メルセデス・ベンツ

ブレーキキャリパーのオーバーホールって知っていますか?

ブレーキ回りのメンテナンスでやっておきたいのが、キャリパーのオーバーホール(分解整備)。ブレーキキャリパーとは、マスターシリンダーで発生したオイルの流れを受けて、ピストンを動かしパッドをローターに押し付ける役割をしています。マスターシリンダーはペダルを踏んだ力でシリンダーを押し込み、ブレーキ液の流れを作っているもの。どちらも非常に重要なポイントなので、チェックしておいてください!

輸入車メンテナンスが得意な工場に直接相談
▶お近くの整備工場検索はこちら

目次

重要保安部品であるブレーキ関係だけに、ブレーキパッドやローターの交換は定期的に行なっていると思うが、キャリパーのオーバーホールも重要なメンテナンスだ。
ブレーキキャリパーは汚れが溜まりやすい。外からの泥やゴミだけでなく、ブレーキダストもこびりついているクルマがほとんど。ピストンの部分にあるゴムシールが劣化すると、ピストンのサビや引きずりなどの原因になる。問題が出るとキャリパーごと交換しなくてはいけなくなることもあるので、定期的にシールの交換をしておく方がいい。
オーバーホールの内容としてはキャリパーに付着した汚れをきっちりと洗浄してやることが重要なポイントで、水洗いが前提となる。そして外したピストンの洗浄。ゴムシールがセットになったオーバーホールキットがあるのでリップ状になったゴムシール、リングシールを新品に交換する。このシールはサビや水分などの侵入を防ぐ重要なパーツで、劣化したまま放置するとサビが進行し、最悪の場合ピストンの出が悪くなるので注意が必要だ。
キャリパーの状態が悪くなると、ブレーキ鳴きなどの症状が出ることがある。例えば、パッドをギリギリまで使ってしまって、キャリパーのピストンが出過ぎてしまい鳴くパターン。この場合はキャリパーのオーバーホールとパッドの交換が必要になる。ピストンの戻りが悪いときもブレーキ鳴きが発生する。戻りが悪いということは、常にパッドとローターが当たっているということなので、この場合もオーバーホールをしてシール類を交換しておく必要がある。
ちなみに、社外品のブレーキパッドを使ったときにブレーキ鳴きが発生することも多いが、鳴き止めのシムが付いているのできっちりと組み込めば鳴かないはず。それでもダメな場合はキャリパーを点検。問題がなければパッドとローターの相性が悪いということなので、どうしても鳴きが気になるようであれば、基本的に純正のパッドとローターに交換すれば解決できる。
ユーザー車検が浸透したことで、ブレーキ回りのメンテナンスが不足しているケースが増えているという。ブレーキキャリパーは油圧を受けてピストンを押し出す重要な役割を担っているので、定期的にオーバーホールをしておく必要があるのだ。費用は工場によって異なるが、1箇所1~2万円といったところ。エンジンやATのオーバーホールのように一気に数十万円の費用がかかるわけではないが、軽視できない部分なので定期的に点検しておくこと。キャリパーはブレーキで発生する熱、摩耗したパッドやローターのダストなどを浴びる過酷な条件で黙々と働いている。そのためキャリパーについてはピストンの作動具合やオイル漏れなどを車検でチェックして、必要であれば注油やオイルシールの交換などのオーバーホールをするというのがメンテナンスの定番となっている。また極端に劣化が進むと、キャリパー自体が開いてしまい使用不可能になることも。安定した制動力を保つためには欠かせない重要なメンテナンスなのである。

ブレーキキャリパーのコンディションが悪くなってくるとピストンの動きも悪くなり、引きづりなどの原因になるので注意しよう。
リング状のシールも要交換部品。これらを交換してやることで本来の制動力を発揮する。ねじれないように正しく組み付けることが重要。

マスターシリンダーの
メンテナンスも考えておきたい

油圧を送るマスターシリンダーも見逃せないブレーキ回りのメンテナンス。マスターシリンダーは、1950年代にブレーキブースターが開発され、さらに1990年代の末には急ブレーキを踏んだ時にだけ、フルブレーキングに十分な踏力をアシストするブレーキアシストの搭載がスタートするなど、より快適に確実な制動力を得られるサポート体制は次々と備わってきているが、ピストンを動かして油圧を発生させるという基本的な構造は100年以上変わっていない。中にはアキュームレータに蓄えたガスの圧力を使いペダルによってバルブを開くことでブレーキ液を加圧する方式のブレーキも存在するが、これはごく少数派。踏力を使った方式の方がリニア感も高くコントロール性にも優れている。
そこで重要になるのがマスターシリンダーのメンテナンスだ。あまり意識することはない部分だと思うが、ゴムシールを使ったピストンを持っている以上これは必ず消耗する。とくにブレーキフルードは吸湿性が高く、フルードが劣化した状態で使用しているとゴムシール類は寿命が短くなる。このような条件の違いにもよるものの、新車から10年以上が経ったらマスターシリンダーのメンテナンスも考えたい時期だ。
マスターシリンダーには通常オーバーホールキットも用意されているが、分解してシールを交換するには高い技術が必要とされるため、多くの場合は丸ごと交換される。工賃を考えるとコスト的にもたいした違いはないのが現状だ。
またブレーキブースターの関連部品である負圧チューブやワンウェイバルブなどはエンジンの熱によって劣化しやすいため、これも状態をチェックして定期的に交換してやる必要がある。ペダルに被せてあるゴムも、滑り止めの突起が削れると滑って危険なので交換すると安心だ。
このように油圧を送り出すマスターシリンダーと、それを受け止めピストンを押し出すブレーキキャリパーを正常な状態に保っておくことは、クルマを安全に走らせるために重要なポイント。もちろん、パッドやローター、ホースの状態などトータルで点検をして本来の制動力を発揮できるようにしておこう。

今回のようなメンテナンスに関する詳しい修理方法はプロに聞くのが一番!

輸入車メンテナンスが得意な工場に直接相談
▶お近くの整備工場検索はこちら

 

油圧を生み出すマスターシリンダーはゴムシールを持つピストンを持っているので、経年劣化により消耗する部分だ。
ブレーキキャリパーはダストやサビなど過酷な環境で作動している。これをキレイに洗浄することもオーバーホールの目的だ。

この記事をシェアしよう!

この記事が気に入ったらいいね!しよう

Maintenance Lab Archiveの最新記事をお届けします

BACK TO LIST