メルセデス・ベンツ

ゴムブッシュやマウント、ショックアブソーバー、サスペンションなど足回りのメンテナンスで重要なのは、正しい整備をしてもらうこと

足回りのメンテナンスといえば、ブッシュやショックアブソーバーの交換が基本になりますが、単に交換すれば乗り心地が改善するのではなく、メンテナンスを依頼した修理工場の作業方法も重要なんです。規定のトルクを守ってボルトを締め込むことやタイヤを仮の接地状態にして組み付けを行うなど、正しい作業をしないと新品のブッシュに交換してもすぐにダメになってしまうことも。この記事では、足回りのメンテナンスにおける正しい作業とは何なのかについて解説します。

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目次

メルセデス・ベンツW124、W140、W201など旧世代メルセデス・ベンツは、足回りをしっかりとメンテナンスしてやると驚くほど乗り味が変わり、往年のメルセデス・ベンツらしい路面に吸い付くような抜群の走行安定性を発揮する。もちろん、その後の比較的新しいモデル、EクラスならW212、CクラスならW204、SクラスならW221などでも年式的に見て足回りが劣化しているクルマが多い。こちらもゴムブッシュなどが劣化して走行安定性が低下していたり、ひどいものだと足回りから異音が発生している状態のクルマもある。
そんな足回りのメンテナンスで基本となるブッシュ類の交換作業。しかしこれには、メーカーやモデルごとに設計された専用のスペシャルツールが必要になる場合が多い。サスペンションアームやハブキャリア、サブフレームなど複雑な形状のケース部分に圧入する必要があるためで、こういったツールなしに作業をしようと思うと、必要以上に分解して交換部分を丸ごと取り外さないといけない場合もある。作業時間が増えるため工賃が割り増しになって、結局ディーラーの方が安かったということもあるのだ。当て金をして叩き出したり叩き込んだり、周囲へダメージが出ることも心配だ。
また一番大切なのがこういった専用ツールを使うことで、ねじれなしにキッチリと組み付けることができるということ。ブッシュによってはSST(スペシャル・サービス・ツール)を使わないと規定のサイズに仕上がらず、アームと干渉してしまうといったトラブルが起きるものもある。こんな時にブッシュを削ってサイズを合わせてしまう工場もあるのが実体だ。整備マニュアルによって専用工具の使用が指定されている部分は、これを使って仕上げてもらいたいものである。
またブッシュを圧入するときに、専用の保護ペーストを塗るように指定されている場合もあって、ここには摩擦による変形を防止するためにもそれを使用することが大切。柔らかく変形しやすいゴム製のブッシュを交換する時には、無理なく優しく入れ替えてやることが必要だ。単に交換すれば乗り心地が復活するというものではなく、その方法も重要なのである。

発進時などに大きく動くデフをキッチリ取り付けるために重要なのが、正しいマウントの位置。これを実現するのもSST(スペシャル・サービス・ツール)の仕事。

サスペンションの組み付けで重要なのは
1G状態で作業すること

サスペンションを組み付けるときは、当然ながら車体はリフトアップされた状態。サスペンションの組み付けで最も重要なのは、正しいトルクで締め込むことと「1G」状態で作業することである。
力が必要な足回りの整備だけに、緩んだら大変とばかり全力で締め込んでしまうと、ブッシュを必要以上に縮めてしまったり、ボルトに過度の負担がかかったりしてしまう。また次に足回りを整備するときにネジが外れないというケースも多い。マニュアルに指定された規定トルクで、トルクレンチを使って締め込むことが大切だ。
もう1つのポイント「1G」とは何か? これは車体が接地して重力=1Gがかかった状態のこと。実際の作業ではボルトが緩んだサスペンションのままタイヤを組み付けて接地させることは不可能なので、リフトに乗せたままジャッキなどでサスペンションを持ち上げて仮の接地状態を作り上げボルトを締め込む。
これはサスペンションが伸び切った状態で締め込みを行なってしまうと、接地させた時にねじれが生じて常に力がかかった状態になってしまうため。これではせっかくの新品ブッシュも、あっと言う間にねじ切られてしまう。交換後の部品の耐久性を大きく左右するポイントとなる部分でもあるのだ。
ショックアブソーバー交換やブッシュの交換など、サスペンション関係の整備を行なった時には、ジャッキでサスペンションを下から支えた状態で組み付けるのが基本。これをちゃんと守っている修理工場に出すようにしたい。また作業後にはアライメントを調整するのも、忘れられない大切なポイントである。

今回のようなメンテナンスに関する詳しい修理方法はプロに聞くのが一番!

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リアサスペンションも、ロアアーム部分をジャッキで支持して組み付ける。めんどうな作業だが、こういったことをちゃんとやってくれる工場こそプロなのだ。

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