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マフラーなど排気系パーツのメンテナンス

新車から10年以上が経過したA3、A4、A6などの旧世代モデルでは経年劣化によりマフラーや触媒(排気ガス浄化装置)にサビなどが発生し、それがひどくなってくるとトラブルの原因になることがあります。この記事では、あまり知られていない排気系のメンテナンスについて紹介します。

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目次

自動車の排気ガスには一酸化炭素を始めとした有害な物質が含まれている。これが人が乗るキャビンの内部に充満しないように、車体の後方から排出しているのがエギゾーストシステム。長い配管の内部を流すことで流速が生まれ、エンジンからの排気をよりスムーズに排出することにも一役買っている。
1970年代後半には各国で排気ガスに対して厳しい規制が導入されたため、化学反応によって有害成分を無害化するための触媒コンバータが導入された。これは排気の流れに対しては抵抗となるため、パワーダウンなどのデメリットもあるものの、排気ガス浄化の要として現在まで進化を続けながら使用され続けている。その基本構造は、アルミナをベースとし白金、パラジウム、ロジウムなどの希少金属を配合した触媒によって、排気ガスに含まれる炭化水素や一酸化炭素を酸化し、無害の二酸化炭素と水分に分解するというもの。現在、多くは窒素酸化物も併せて還元するため「三元触媒装置」と呼ばれている。どんどん厳しくなる排気ガス規制に対応するため、触媒が前後にダブルで取り付けられているクルマも珍しくなくなった。
排気系でもう一つの重要な役割を担っているのがマフラー。別名サイレンサーとも言われるこれは消音器として機能していて、太鼓状になった内部で排気を拡散させ細い配管に通すことで爆音の原因となる排気の強い脈動を取り除いている。
このように、有害な排気ガスを浄化し静かに排出しているエギゾースト系。ここに排気漏れなどのトラブルを抱えることは、乗員にとって非常に危険でもあることを知っておきたい。漏れていてもオイルや冷却水より軽視しがちな排気だけれど、実は決して放っておくことのできない重要なメンテナンスポイントなのである。
排気系のトラブルで代表的なものは、リアエンドのメインマフラー、その手前のサブマフラー、そして各パーツを繋ぐパイプなどの腐り。また近年増えているのが触媒の不良だ。
マフラーがサビで腐る原因は、ガソリンを燃やすことで発生する水分が蒸発しない乗り方、いわゆるチョイ乗りが多いと、マフラーの内部が腐りやすくなる。とくに排気管の内部やパイプの曲がっている部分、溶接部分などにサビは発生しやすい。
外側からサビが発生する大きな原因は、凍結防止剤(塩化カルシウムなど)や潮風など、塩分の付着によるものがほとんど。サビが発生する前に、定期的に耐熱塗料を吹き付けておくことである程度外側からサビを誘発することは抑制できる。新車から10年経過しているクルマなら、多少なりともサビは発生してしまうので、修理や交換が必要になるのも10年に一度というのが大まかな目安だ。修理しながら使い続けるのもいいが、サビや穴がひどい場合は、交換した方が結果的には安く済む場合も多い。最も値が張る部分は触媒の交換で、マフラーと同時に交換となると、車種によっては50万円を超える費用になることもある。

マフラーパイプはサビによって穴が空いてしまうことが多い。とくにパイプの曲がり部分は穴が空きやすいポイントとなっている。

マフラーやパイプの腐りは溶接修理
触媒には3つの対処方法がある

マフラーにトラブルが発生したときの対処法を紹介しよう。症状が初期段階であれば板金工場などで溶接修理してもらうという手がある。サビなどで鉄板の薄くなった部分を切り取り、新たな鉄板を継ぎ足す。または溶接で穴を埋めてしまうという方法だ。
もうひとつはメンテのタイミングでワンオフマフラーを作ること。耐久性に優れたステンレスなど素材選びから自由に選べ、形状や音質にもこだわることができる。もちろんブランド選びは大切だが、国産だからと言って毛嫌いする必要はまったくない。世界に誇る日本の技術を使って手作りされるマフラーは、見た目も品質も決して純正部品に劣るものではない。
続いて触媒についてだが、ここは費用の面でも負担が大きい部分。ドイツ車に限らず、今や全ての輸入車の弱点になっているのが触媒のトラブルであり、とくに多いのが高年式のV型エンジンに備わる触媒。排気量が大きいほどトラブルが出やすい傾向にある。症状としては、車体の下部からカラカラという異音が出て、加速不良、燃費の悪化などが起きる。早い場合だと走行5万㎞程度で異音が発生してしまう事例もある。
触媒はV型で4つ、直列で2つというのが主流で、そのうち2つは触媒の機能を素早く有効に働かせるため、エンジンに近い場所にセットされている。従来のシート下あたりに加え、エンジン側に近い場所にも備わっているのだ。V型エンジンなら片バンクに2つずつとなり、交換はアッセンブリーとなるため、40万円前後の交換費用になることも珍しいことではない。
新品交換以外の対処方法としては中古品、ワンオフ、リペアの3つの方法がある。それぞれにメリットとデメリットがあり、中古品は費用は安いが、中古ゆえに耐久性は低い。トラブルが再発するリスクを考えると工賃を払ってまで中古品を使うのはあまりおすすめできない。ワンオフで作ることも可能で、この場合はきっちりと性能回復を見込めるが車検をパスできないこともある。よく確認することが大切だ。リペアは純正のケースを再使用として中身だけを交換する手法。リペアをしてくれる工場が少ないのがデメリットだが、修理としてはもっとも確実な方法で、費用もリーズナブルだ。

今回のようなメンテナンスに関する詳しい修理方法はプロに聞くのが一番!

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マフラー修理でおすすめなのがプロによる溶接修理。きっちりと溶接してもらえば、劣化していない部分と同等の耐久性を確保できる。
触媒の中古品は費用的にリーズナブルではあるが、トラブルが再発するリスクが高いため、長期使用には向いていない。

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