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操舵系パーツで注意したい3つのポイント

ステアリングを切った時に異音が出るのは何らかのトラブルを抱えている証拠。とくに、新車から10年以上が経過したA3、A4、A6などの旧世代モデルでは注意が必要な部分です。ステアリング関連パーツで気をつけたいのは油圧ライン、ステアリングギアボックス、パワステポンプの3つ。この記事ではこれらのトラブルパターンとメンテナンスについて解説します。

目次

ステアリング関連のパーツで不具合が多いのが、油圧ライン、ステアリングギアボックス、パワステポンプ。ここでは、この3つのポイントで発生するトラブルの症状と解決方法について解説していきたい。
まずは油圧ラインからのオイル漏れ。パワステのリザーバタンクに備わるホースからのオイル漏れは定番で、多くのクルマで発生しているトラブルだ。リザーバタンクのキャップから漏れ出すこともあり、キャップの回りがオイルでベトベトになっているケースも少なくない。ゴムホースバンドで固定されているホースであっても、その部分を増し締めしたところでオイル漏れは止まらないため、定期的に交換していくしかない。耐久性に優れたステンメッシュ製のホースに交換するという手もあるが、全体的に見直さないと弱い部分にオイル漏れが発生するケースが多いので、ステンメッシュを使うときはフィッティングの部分も含めてよく検討する必要がある。
ステアリングギアボックスには、リサーキュレーティングボール式とラック&ピニオン式の2つがある。最近では、電動式のステアリングも登場しているが、旧世代ドイツ車に使われているのはこの2タイプである。
まずは、リサーキュレーティングボール式。これはボール&ナット式とも言われるギアボックスで、メルセデス・ベンツやBMWなどドイツ車の一部に装着されている。作りそのものは非常に頑丈なのだが、ゴムシールの劣化によってオイル漏れが発生することが多い。そのまま放置しておくと油圧の低下を招いてしまうから、その前にギアボックスをオーバーホールしておく必要がある。
その内容としては、内部をバラして洗浄後、ボールベアリングとゴムシール類の交換を行い、組み付け後に遊びの調整をして完成となる。この遊びの調整がリサーキュレーティングボール式では重要で、フィーリングにも大きな影響を与える部分。遊びの量をあまりに減らそうとするとギアにも悪影響を与えてしまうので、整備マニュアルを基本に調整をすることが重要だ。また、リサーキュレーティングボール式はギアの磨耗よりもボールベアリングの磨耗のほうが早いので、これを交換することは非常に効果的だと言える。
現在主流となっているラック&ピニオン式のステアリングギアボックスは、多くのクルマに採用されている。ラック&ピニオン式はリサーキュレーティングボール式に比べて部品点数が少ないことと、ボールベアリングを介さずにステアリングの動きが直接ギアへと伝わるためクイックな挙動になるのが特長だ。
ラック&ピニオン式で多いのはやはりオイル漏れだが、ステアリングを切ったときに異音が発生するケースも多い。しかし、修理方法としてはリサーキュレーティングボール式のようにオーバーホールするのではなく、新品またはリビルト品に交換するのが一般的。もちろん、オーバーホールができないというわけではないのだが、ギア同士が直接噛み合っているラック&ピニオン式では、ラックギアとピニオンギアの両方を交換するとなると費用も高額になる。そのため、ラック&ピニオン式はリビルト交換が主流で、オーバーホールを行なっているところは少ないというのがその理由だ。
リビルト品は約10万円以上なので、予算によっては中古品を使うというチョイスもあるが、品質を見極めるのが難しいので長期使用には向いていない。トラブルが再発するリスクも高いので、それを理解したうえで次の車検までといったように期間限定的な使い方をしたほうがいいだろう。また、ステアリングラックのブーツが切れているクルマも多いので、オイル交換などのついでに点検しておくといい。このブーツが切れたままだと車検でも不合格となる。

見た目にも頑丈そうなリサーキュレーティングボール式のギアボックス。ゴムシールの 劣化によりオイル漏れを起こすことが多いがオーバーホールが可能。
油圧ラインが装着されているのが分かるラック&ピニオン式のステアリングラック。ホースからのオイル漏れも多く発生している。

パワステポンプは
オーバーホールが可能

そして最後がパワステポンプ。文字通り油圧を生み出す部分で、メーカーからオーバーホールキットがリリースされているため、多くのモデルでオーバーホールが可能だ。
パワステポンプもオイル漏れやステアリングを切ったときに「ウィーン」という異音が出ることが多い。オーバーホールの内容はギアボックスなどと同様で分解・洗浄・点検が基本であり、ゴムシールやパッキン類を新品に交換する。点検すべき重要なポイントは、ポンプ内部のローターに組み込まれたベーンと呼ばれる小さな金属部品。これが摩耗すると、メインシャフトにガタが生じてやがてその周辺に大きなダメージを与えてしまう。
つまり、ゴムシールやパッキン類を新品に交換しただけでは、パワステポンプのオーバーホールとしては不完全なのだ。ベーンの状態をひとつひとつ丁寧に点検し、摩耗がひどいものは交換しなければならない。また、ベーンは方向性を持つパーツであり、組み方を間違えるとポンプのトラブルに繋がる。
そもそもパワステポンプがダメになる原因は、ステアリングの据え切りやフルロックさせてしまうことでダメージを与えてしまうことが多い。狭い駐車場などでは仕方ないが、なるべく据え切りは避け、フルロック寸前で少しステアリングを戻してやることでパワステポンプの負担を軽減することができる。

パワステポンプは多くのクルマでオーバーホールが可能。分解して内部を洗浄し、消耗 パーツを交換するのが基本だ。

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