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夏場のエンジン不調の原因になりやすいイグニッションコイル

外気温が高くなる夏場はエンジンルーム内の温度も高くなるため、各部への負担が大きくなります。そのひとつがイグニッションコイル。ここではその原因と対処法について修理工場で聞いた話を元に紹介していきます。

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12ボルトの自動車用電圧から、点火スパークを飛ばすための数万ボルトという高圧電流を作り出すのがイグニッションコイル。複雑な装置ではないけれど、ガソリン自動車には欠かせない部品の一つだ。
このイグニッションコイルには、一つないしはV型エンジンで左右のバンク用に二つを備え、ここからプラグコードで電流を運ぶタイプと、スパークプラグの真上に各気筒分がセットされているダイレクトイグニッション方式がある。ドイツ車の場合は1995年頃を境に、ほぼすべてがダイレクト式に変更されているため、多くのドイツ車はダイレクトタイプが主流ということになる。
イグニッションコイルのトラブルは、熱などによる劣化で内部の絶縁体が溶けてしまったり、細く巻かれた銅線が断線したりして機能しなくなるというもの。コイルの数が少なかった時代には、突然エンジンがかからなくなると「コイルが焼けたかも?」と真っ先に疑われるポイントでもあったが、ダイレクト式になってからは、6気筒や8気筒といった多気筒エンジンの場合、一つくらいダメになって火が飛んでいなくても、多少パワーダウンしたりアイドリングの振動が増す程度で、走り続けてしまうというケースも多い。そんな状態でもシリンダーには燃料が供給され続けて、未燃焼のまま排気管内に流れ出すことで触媒を傷めてしまう原因になることもある。4気筒エンジンでは、1気筒止まっただけでも大きな振動が出るのですぐにわかるが、多気筒ユニットの場合は注意しておきたいポイントだ。
熱による劣化が原因となることが多いイグニッションコイルのトラブルは、エンジンルーム内部が高温になる夏場に発生しやすい。焦げ臭いニオイが出るといったケースは少なく、突然アイドリングが乱れたり、アクセルを踏んでも加速が悪くなるといった症状に見舞われるというのがお約束だ。最新の制御を行なっているエンジンでは、こんな時にはエンジンチェックランプを点灯させて未燃焼状態のシリンダーへの燃料供給をカットしてくれるが、10年以上前の世代ではそこまでの機能が備わっているかは微妙なところ。愛車の変調には自分で気づいてやる必要があるだろう。とは言っても、診断コンピュータに繋げばエラーコードは確実に記録されているので、滑らかなフィーリングが魅力のV8やV12ユニット搭載モデルでは、この面でも定期的なコンピュータチェックを受けることが大切である。

現在アウディのエンジンで主流となっているのが、プラグの真上にコイルがセットされるタイプ。各気筒に1つのコイルが備わるダイレクトイグニションとなっている。熱などの影響により劣化してしまうことが多い。

突然にダメになるケースが多いので
予備パーツがあると対処しやすい

イグニッションコイルの交換作業は、脱落防止のクリップが装着されている一次電流側のコネクターを外し、プラグに繋がる二次側の高圧端子を抜き取れば簡単に取外すことができる。難しいのはむしろコイルの姿を目にするまでで、樹脂製のヘッドカバーやエアインテークホースなどに邪魔されているモデルも多いため、色々な工具がないと交換できないという場合も多い。また、モデルによっては多数のコイルが一つに繋がったモジュールパーツとなっていることも多く、メルセデスのSOHC版V12ユニットでは、コイル交換で40万円以上の費用が必要となるのは有名な話。一部には同時点火のシリンダーでコイルを共有しているタイプもあって、4気筒で2つ、6気筒で3つが搭載されているモデルもある。この場合は、短いプラグコードが使用されているので、コイル交換の場合はこういった周辺パーツの劣化にも注意して、同時に交換してやるようにしたいところ。
出先で突然トラブルに見舞われることも多く、DIYでも比較的簡単に交換できるパーツであるため、イグニッションコイルは交換作業の手順を覚えてクルマに予備を積んでおくと便利。10年落ち以上となるドイツ車では、トラブルが発生する前に新品に交換して、外した部品を予備として積んでおくという手もある。メカニックに交換作業を見せてもらい、要点を教えてもらっておけば、いざという時には自分で換えることもできるだろう。DIYメンテの入門項目としてもオススメの作業である。
ただし、高圧電流を使用している部分なので、感電には十分な注意が必要だ。コイル交換をする前にはバッテリーのマイナスターミナルを外して、イグニッションが入らないようにしてから作業を始めるのが鉄則。コネクターやプラグコードとの接続は確実に行ない、エンジンを始動する前にもう一度チェックするように。安全第一で作業するように心がけよう。
旧式のディスビとプラグコードを使ったタイプの場合は、エンジンルームにステーを使って筒状のコイルが固定されているだけなので、交換作業はダイレクト式以上に簡単。ネジを緩めて交換するだけで完了だ。この場合も、コイルへの一次側電流コネクター、高圧側のプラグコードの差込をキッチリと確認してからエンジンをスタートすること。ディスビと別体のイグナイターを使用しているモデルでは、この部分の接触不良によって高価なイグナイターが壊れてしまうというケースが考えられる。DIYの盲点とも言える部分なので、後悔することがないように接続はしっかりと確実に。
快調なエンジンの三大要素、よい混合気、よい圧縮、強いスパークに欠かせない部品であるイグニッションコイル。是非とも早めのメンテで対処しておきたいものである。

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1つのコイルがダメになったということは、他のコイルの寿命も近いということ。トラブルが起きたタイミングで全て新品に交換しておくと安心感が高い。もちろん、工賃の節約にもなる。

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