―「ちょっとおかしい」を放置しないために―
目次
1. こんな症状、心当たりありませんか?
PeugeotやCitroënにお乗りの方で、
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発進時にエンジン回転数ばかりが上がる
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高速走行中にギアが「空転」するような感覚がある
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ギアチェンジ時のショックや違和感が大きくなった
こういった変化を感じたことはありませんか?
それは、**「トランスミッションの滑り」が起きている可能性があります。
とくにPeugeot / Citroën系に多く採用されているアイシン製AT(AL4 / AM6 / EAT6など)**は、滑り症状の発生率が比較的高く、早期対応がカギとなります。
2. 「滑り」はなぜ起きる?
原因はATの“内部摩耗”と油圧の低下
ミッション滑りの主な原因は以下のとおりです:
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ATフルードの劣化または不足
→ 高温環境下で劣化し、クラッチの接続力が低下 -
バルブボディやソレノイドの不具合
→ 油圧制御のトラブルによりギアが正しく作動せず -
クラッチプレートの摩耗
→ 摩擦力が失われ、滑りを起こす -
ECUやTMC(トランスミッション制御ユニット)の制御異常
→ 過剰なトルクを許容してしまい症状悪化
これらは目視点検だけでは判別が難しく、専用の診断機による解析が必須です。
3. 代表的なトラブル例(実録)
Peugeot 3008(EAT6)
症状:Dレンジで発進時に引っかかる感覚。3速→4速で空転。
整備内容:専用診断機にてAT内部油圧低下を検出。ATF交換履歴がなく、規定量の50%以下であった。
対処:ATFを3回に分けて圧送交換+ソレノイド清掃。軽度な滑り症状は回復。
アドバイス:EAT6搭載車は6万kmを超えたらATF点検を習慣に。
Citroën DS5(AM6)
症状:冷間時に2速で引っ張る動き。
整備内容:内部クラッチプレートの摩耗が疑われ、開封確認。摩耗粉の堆積が多く、プレート交換へ。
部品情報:AM6用リペアキットは国内在庫が薄く、納期約2週間。
対処:部品交換+ECUのソフトリセットで対応。
4. 放置は危険。早期整備で「滑り」は防げる
トランスミッションの滑りは、進行すると高額なオーバーホールが必要となるリスクがあります。
症状レベル | 予想整備費用(目安) |
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軽度(ATF交換対応) | ¥30,000~¥60,000 |
中程度(ソレノイド交換) | ¥80,000~¥120,000 |
重度(バルブボディ交換またはO/H) | ¥200,000~¥400,000 |
「早めの点検=予防整備」は、オーナーの負担軽減にもつながります。
5. Stellantis系ミッションの“クセ”を知る整備ネットワークの存在
Peugeot / CitroënなどStellantis系車両の実績を持つ整備工場を見つけよう
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特定車種における滑りやすい走行パターンの蓄積
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使用部品の在庫確保や共通部品の横展開
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ECU再学習や初期化のノウハウ共有
といった、市販工場では得にくい知見のある整備工場は存在するはず。
「ちょっとした違和感」を放置すると、それは大きな修理費につながります。
今こそ、定期的なATの点検をおすすめします。