Audiオーナーが直面しやすい代表的な不具合とその対処法
目次
Sトロニック(デュアルクラッチ式ミッション)の誤作動・変速ショック
1. 発生しやすい車種と症状
Audi A3(8V)/A4(B8・B9)/TTなどに搭載されるSトロニック(DL382/0B5など)では、
・シフト時のギクシャク感・振動
・「ギアが入らない」「Nレンジから動かない」
・ギアシフターのエラー表示
などの報告が多く見られます。
2. 原因の一例
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メカトロニクスユニットの故障
→オイル混入やソレノイドバルブ異常が原因 -
クラッチ摩耗/学習ズレ
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トランスミッションオイル劣化(規定より早めに要交換)
3. 実際のメンテ事例
「A3 8Vで2速発進不可。メカトロ交換歴あり。Sトロオイルも交換済だが、再学習で一時的に改善。→数週間で再発。最終的にクラッチアッセンブリごと交換で安定動作」
→走行距離7万km超でのクラッチトラブルは比較的多く、早期の診断がカギ。
4. 部品情報
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メカトロニクスASSY:約20〜25万円
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クラッチKIT:約10〜15万円
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DSGオイル:約2〜3万円分(交換工賃込み)
◆Point
「エンジンよりミッションの方が先に壊れた」と感じるオーナーも…。
定期的なオイル交換・早期診断が寿命延長のコツ。
ブレーキ警告灯が点灯する場合
1. よくある警告灯パターン
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赤のブレーキ警告灯(⚠ブレーキ)
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ABS警告灯との同時点灯
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「ブレーキシステム異常」のメッセージ表示(MMI画面)
2. 主な原因例
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ブレーキパッド残量センサー反応(消耗)
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ブレーキオイル(DOT4)低下・吸気
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ABSセンサー不良/ハブ側のギヤ欠け
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ブレーキブースターの異常負圧(A6・A7等で報告あり)
3. メンテナンス実例
「A4 B9にて、ブレーキ警告→診断機にてABS右前エラー。→ハブ一体型センサー不良判明。部品交換後復旧」
→このようにセンサー不良が原因であっても、部品はハブAssyごとになるケースが多い。
4. 部品価格の目安
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パッドセンサー:2,000〜3,000円
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ブレーキパッド:15,000〜30,000円
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ABSハブ:25,000〜40,000円
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DOT4フルード交換:5,000〜10,000円
◆Point
単純な消耗か、制御系トラブルか?
診断機がないと特定困難なケースが多数。
冷却水漏れの定番ポイントと対策
1. 典型的な漏れ箇所
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ウォーターポンプ(樹脂製)周辺
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サーモスタットハウジング
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ヒーターコアやパイプジョイント部
2. なぜ起きる?
Audiでは樹脂系パーツの熱劣化が進行しやすく、
走行5〜7年目(5〜8万km)あたりからにじみ→滴下→大量漏れが発生。
3. 実際のメンテナンス事例
「A6 C7にて、エンジン警告灯+冷却水レベル低下表示。サーモハウジングからの滲み発見。周辺部品含め一式交換」
→冷却系交換作業は分解工賃が高額な傾向があるため、まとめて対応が望ましい。
4. 参考部品情報
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サーモハウジング:15,000円前後
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ウォーターポンプ一式:30,000〜40,000円
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冷却水(G13推奨):約5L必要
◆Point
「とりあえず補充」で済ませず、小さなにじみでも早めの点検を。
PCVバルブの不良でエンジン不調?
1. 主な症状
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アイドリング不調・ハンチング
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ブローバイオイルの吹き戻し
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エンジンチェックランプ点灯(P0507、P2279など)
2. 原因と仕組み
PCVバルブ(ポジティブクランクケースベンチレーション)は、
ブローバイガスを吸気に戻すバルブ機構。
→これが故障するとエアリーク状態になり、燃調が乱れる。特にFSI/TFSIエンジンで多発。
3. 実例
「A5にてチェックランプ点灯。吸気漏れ疑い→PCVバルブ単体交換で改善。オイルキャップ外すとアイドリング崩れるのも確認」
→PCVの負圧不良確認法として“キャップテスト”は有効。
4. 部品・修理費目安
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PCVバルブ(アッセンブリ):8,000〜15,000円
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工賃:10,000〜15,000円(脱着難度による)
◆Point
症状が地味でも燃費悪化・エンジン保護への影響が大きいため、見逃し厳禁。トラブルは「未然防止」と「適切診断」がカギ。
Audi車両のトラブルは、「小さな兆候を見逃さないこと」が非常に重要です。とはいえ、輸入車ならではの設計特性や部品構造の違いもあり、ネットだけの情報では判断が難しいケースも。