BMW

徹底攻略! 部位別オイル漏れ対策【BMW】

多くのドイツ車の悩みの種であるオイル漏れは放置されるケースも多いですが、

甘く見ていると重大トラブルの原因にもなるため注意が必要です。

ここではAT、ステアリング、デフ、足回り関係のオイル漏れ対策を解説していきます。

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目次

にじみ程度なら様子を見るということが多いオイル漏れ。だが、漏れたオイルが他の部位に付着すると思わぬ重大トラブルに繋がることがある。例えばエンジンでいえば、オイルフィルターケースからの漏れが、その下にある高価なオルタネーターに付着して壊してしまうという事例は定番だ。オイル漏れだけなら安価な修理でも、それを放置しておくと余計なコストがかかってしまう。これはここで紹介するATやステアリング関係、デフでも同様といえる。
また、色や粘度の違いなどもチェックしておくといい。下回りから赤色のオイルが漏れていればATFだし、粘度が高いオイルならデフオイル、どちらでもなくサラサラしたオイルならブレーキフルードといった具合だ。ブレーキフルードなら早急の対応が必要になるなど、ある程度の予測がつくようになればトラブルを未然に防ぐことができる。「百害あって一利なし」なのがオイル漏れの真実。しっかりと直しておこう。

ATFが漏れるポイントとして挙げられるのはATクーラーホース。ラジエター内部にあるオイルクーラーに繋がるホースなのだが、このかしめ部分が劣化して漏れるケースが多い。他の部分への影響が少ないポイントであるが、漏れが発生したら早めに交換しておきたい。オイルパンパッキンも定期的な交換が必要だ。
注意したいのはAT本体からの漏れ。近年のモデルではスティックタイプのレベルゲージが備わっていないため、油量を確認するにはコンピュータ診断機を使ってチェックしなければならない。フルード漏れがひどくなれば当然油量も減ってくる。そのまま放置すればAT本体を壊してしまうこともあるので、定期的にコンピュータ診断を受けてチェックする必要がある。AT本体でフルードが漏れやすいのは、基板のコネクター部分であるEGSカプラーからの漏れ。クルマによっては対策品が出るほどメジャーなポイントで、定期的なチェックが欠かせない。また、ここからのフルード漏れを放置すると、コネクターの端子部分から毛細管現象でコントロールユニットまでフルードが回ってしまうという重大トラブルに繋がることもある。この場合はユニット交換&配線修理となり費用は高額になってしまう。被害が大きくなる前に早めに点検しておくことがトラブル予防に繋がるのだ。

電子制御式ATに備わるEGSカプラーからフルードが漏れることが多い。電子制御タイプはここが弱点であるため、対策品が出ているクルマも多い定番のポイント。

ステアリング関係ではパワステホースからの漏れが定番。漏れのポイントとしてはカシメ部分からがほとんど。BMW・M3などのスペシャルモデルはパワステホースでも高価になってきているので、こういった場合はワンオフの社外品を作ってみるのも手だ。いずれにしても定期的に交換していくしかない。またリザーバタンクからの漏れも多い。昔から漏れやすいポイントながら、高年式モデルでもあまり対策はされていないようで、相変わらず漏れているクルマが多い。キャップ部分から漏れるのが定番なので新品と入れ替えるか、キャップのパッキンのみを交換する方法もある。
リサーキュレーティングボール式のステアリングギアボックスを採用するクルマでは、ここからの漏れがひどいクルマが増えている。オーバーホールが可能なのでシール類を新品にして遊びなどもきっちりと調整しておくといい。パワステポンプはシャフトが入る部分にブッシュが備わっており、ここが劣化するとオイル漏れを引き起こす。同様にOリングの劣化にも注意したいところだ。ステアリングギアボックスはオイルが漏れていても放置されるケースが非常に多いが、ドイツ車らしいステアフィールを取り戻すためにも、きっちりと直しておきたい。

パワステホースはかしめ部分から漏れるのがほとんど。社外品を使う方法もあるが、基本的には持病だと思って定期的に交換していくしかない。

車種を問わず多くのドイツ車で発生しているのがデファレンシャルギア(デフ)からのオイル漏れ。リフトアップして下回りを点検しなければ分からないためユーザー自身が目にすることは少ないが、定期的に点検をしているクルマなら一度は指摘されたことがあるはずだ。
デフに使われている代表的なゴムシールは、左右のドライブシャフト側に付くサイドシール2つと、プロペラシャフト側に付くミッドシール。これらが劣化するとオイル漏れが発生してしまうのだ。これを放置すると、最悪の場合デフの内部が焼き付いてしまうなどのトラブルを引き起こすため疎かにはできない。
シールの交換はデフを降ろして分解するので重整備となるがきっちりと直しておきたい。デフを降ろしたついでに調整もしておくこと。年に一回、定期的な点検とオイル交換をしておけば重大なトラブルを避けることは可能だ。

漏れたオイルがびっちりと付着しているのが分かる。デフオイルはエンジンオイルなどに比べると粘度が高いのが特徴だ。

足回り関係でオイルが使われているのはブレーキ。リザーバタンクから漏れるケースは少ないが、劣化したホースを使い続けるとカシメ部分から漏れることがある。もし、駐車場からクルマを出すとき、路面にオイル漏れの痕跡を見つけたら走らせる前に必ず点検すること。それがブレーキフルードだとしたら非常に危険だからだ。エンジンオイルなどはアンダカバーで覆われているため駐車場にオイル漏れの痕跡が残るケースは少ないが、ブレーキホースからフルードが漏れている場合、ホースや足回り付近にその痕跡が残るはず。もし漏れているようなら早急に修理工場で直してもらおう。
油圧式のレベライザーを搭載しているクルマはリザーバタンクからの漏れが多い。レベライザーホースやレベリングバルブからのオイル漏れも定番のポイントなので、年式から見ても新品に交換しておきたいところ。ちなみに、レベライザーオイルは専用品となっておりエア抜きも必要なので、交換するときはドイツ車をよく知る修理工場に依頼するようにしたい。また、基本的なことだがショックアブソーバーからオイルが漏れることもある。そうなったら放置せずに即新品に交換して本来の乗り味を取り戻しておこう。

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オイル漏れはどれも軽視してはいけないが、とくにブレーキフルードは注意が必要だ。劣化したホースを使い続けるのもNGだ。

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