メルセデス・ベンツ

W221型Sクラスなど上級クラスに多いエアサスペンションのトラブル

メルセデス・ベンツSクラスなどに搭載されるエアサスペンションは。絶品の乗り心地を実現する足回りのキーポイントです。

でも、長期使用によりエアサスペンションによるトラブルが多いのも事実。この記事ではトラブル原因とその解決方法について解説します。

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目次

メルセデス・ベンツに搭載されるエアサスペンションは、不快な思いなど微塵も感じさせない絶品の乗り心地を実現している。エアサスペンションを搭載しているのはミドルクラス以上がほとんどで、やはり高級車には欠かせない足回りのキーポイントになっている。
メルセデス・ベンツのエアサスペンションには車高を一定に保つレベルコントロールと、走行状況に応じて減衰力を変更する可変サスペンションとしての機能が持たされている。低速時には減衰力を柔らかくすることで衝撃を吸収、高速時には硬めにして安定性を高めるほか、車高も調整するといった具合だ。こうした調整は足回りの横Gセンサーやステアリングアングルセンサー、ECUなどからの信号を電子制御して、減衰力や車高を調整する。室内のスイッチを使って、好みの減衰力に変更できるクルマも多い。

メルセデスではワゴンモデルなどに採用されている、エアスプリングとショックアブソーバーが別になっているエアサスペンション。W221型Sクラスなどの上級クラスには、ショックとエアスプリングが一体式のものが搭載されている。写真はワゴンモデルのもの。

エアサスペンションは金属ばねの代わりにゴム製のエアバッグを用いるものと、ショックとエアバッグが一体構造になっているものがある。前者は従来からあるものでワゴンモデルのリアサスペンションなどに搭載されているものだ。
ショックとの一体構造になっているものとしては、例えばメルセデス・ベンツのSクラスやCLSクラスに搭載されるエアマチックは、ショックとエアスプリングが一体になったストラット構造。このエアサスシステムは、作動圧力を生み出すエアポンプ、圧縮空気を溜めるためのタンク、エアを振り分ける電動のバルブユニット、そして4輪に配置されたシリンダーで構成されている。足回りには車高をモニターするレベルセンサーが備わっておりフロントは左右で2つ、リアに1つの3チャンネル制御だ。構成部品はシンプルで、ポンプが電動化されているのもポイントだ。
このエアサスペンション、とくにメルセデス・ベンツではトラブルが多いポイントになっている。しかも、純正品はとても高価で4つ全てを交換すると関連部品も含めて高額となるため、直すのを躊躇してしまうほどの金額になる。
エアサスペンションのトラブルで多い症状が車高が上がらなくなってしまうこと。その原因は経年劣化で、ゴム製のエアバッグに亀裂が入るのがパターン。エア漏れを放置しておくとポンプが常にエアを送り続けてしまうため、モーターが過熱して樹脂製のケースに歪みが出てエアが漏れる、配線の被覆が溶けてショートする、最悪の場合はモーターが焼き付くなどの故障が起きる。
コンピュータ診断機でエア漏れをチェックできるので、走行距離が増えてきたら一度点検しておくと安心。エア漏れがひどくなると、シャコタンになってしまい走行不能になることがあるので早めの対策が重要だ。また、高級車のエアサスペンションは電子制御によって減衰力や車高調整をしているので、エアバッグの亀裂によるエア漏れなだけではなく、ECUやセンサーなどの不具合にも注意したい。
先述したように純正品のエアサスペンションは非常に高価なのだが、Sクラスなどに採用されるショックとエアサスペンションが一体構造となる本体のみであれば、OEMパーツがリリースされており、それを使うのが費用を抑える方法だ。また、エアポンプなど関連部品のトラブルはエア漏れがきっかけで起きることが多い。足回りに異常を感じたら早めにエアサスペンションをチェックしておくことで、新たな二次被害を防ぐことに繋がっていく。

今回のようなメンテナンスに関する詳しい修理方法はプロに聞くのが一番!

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エアサスペンションのエアバックはたえず圧力が掛かっている部分なので、ゴム製エアバックの負担は想像以上に大きい。劣化が進むと亀裂が入り、エア漏れを起こしてしまう。

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