よくある3大トラブルと実践的メンテナンス対策
タッチスクリーン不良/12Vバッテリー上がり/ドアアクチュエーター不具合
目次
タッチスクリーン不良:EVの心臓に潜むリスク
◼ 症状と傾向
Teslaの中核を担うタッチスクリーン(MCU)は、ナビやクライメートコントロールだけでなく、走行設定・充電管理・ドライブモードなど全体の制御にも関わります。
不良の主な症状は以下のとおりです:
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起動遅延・ブラックアウト
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タッチ反応の遅れや無効化
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Wi-Fi/Bluetooth接続不能
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MCUリブートの頻発
◼ 原因の多くは「eMMC」
特にModel S/X(〜2020年頃)で多いのがeMMC(組込みメモリ)の劣化。ファームウェア更新の繰り返しにより書き込み寿命を超え、MCUが機能不全に陥ることがあります。
現在はリコール対象も存在しますが、実費交換となるケースもあり。
◼ 修理対応例
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MCUユニット交換:¥150,000〜¥250,000
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アップデート/再フラッシュ対応:¥30,000〜(非公式業者対応)
◼ 部品入手の現実
Tesla純正部品の個別流通は制限されており、交換には公式サービスまたは一部の認定ショップへの依頼が必要です。
※弊社会員向けルートでは、再生ユニット対応可能な提携先をご紹介しています。
12Vバッテリー上がり:意外な盲点、EVにも存在
◼ 12Vがないと何も始まらない
Teslaを含むEV車にも、駆動用バッテリーとは別に12V補機バッテリーが搭載されています。これはECU・ロック機構・通信・起動信号等を司るため、劣化すれば車両そのものが「沈黙」します。
◼ よくある症状
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スマホキーやカードキーでも開かない
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ディスプレイ無反応/充電ケーブルが解除できない
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電動ブレーキが作動せず車両移動不可
◼ 主な原因
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補機バッテリーの劣化(3〜4年が寿命)
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走行距離が少なくても充電不足が続いた場合
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アップデート失敗後の待機電力過多
◼ メンテナンス&交換目安
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補機バッテリー(リチウムタイプ推奨)
交換費用:¥40,000〜¥80,000 -
定期診断:専用スキャナーにて電圧/抵抗チェック
※弊社提携工場にて、状態診断→交換まで対応可
◼ 緊急対応のコツ
トランクフードが開かない場合の12V救援や、フロントパネル裏の補助端子からの給電など、車種別の実践手順を会員ページで公開中。
ドアアクチュエーター:ソフトなのに壊れやすい構造
◼ 故障事例が増加中
Teslaでは物理的なドアハンドルが存在していても、内部は電動モーターとセンサーで構成され、アクチュエーターの不具合が発生すると以下のようなトラブルになります:
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外からドアが開かない
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室内側からも開閉不能
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ドアロックが無反応になる
◼ 修理例と費用感
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アクチュエーターAssy交換:¥60,000〜¥90,000(1枚あたり)
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工賃込み修理例:¥90,000〜/部位により変動
◼ 補修部品について
Tesla純正パーツは海外からの取り寄せに依存するケースが多く、納期や価格が不安定。
一部の再生アクチュエーターや互換製品も使用可能ですが、動作保証には注意が必要です。
◼ 整備の注意点
故障診断や交換には専用診断ツールが必要で、汎用OBDではドア関連の詳細なエラーが読み取れない場合あり。
弊社ネットワーク工場では、Tesla対応ツールを導入した整備事例を共有中。