メルセデス・ベンツ

往年のメルセデスらしい上質でしっとりしたステアフィールを取り戻す

1980~1990年代W140、W126、W124、W201型メルセデス・ベンツは今でも熱烈なファンが多く、根強い人気を誇っている。メンテナンスしながら長く乗るという設計であるため、部品としっかり整備できるメカニックさえいれば、今でも十分に実用になるほど高い基本性能を持つ。ここでは往年のメルセデスの美点でもあるステアリング回りのメンテナンスについて見ていきたい。

目次

メルセデス・ベンツファンの中には、1980~1990年代のヘッドライトが四角い世代のW140、W126、W124、W201型メルセデスを愛好している人も多いと思う。ここではその世代のメルセデスのステアリング回り、いわゆる操舵系のメンテナンスについて紹介していこう。
この世代のメルセデスは、リサーキュレーティングボール式というギアボックスを搭載している。現在主流であるラック&ピニオン式に比べると、使われているアーム類が多く、それらの劣化によりフィーリングが悪化しているケースが多い。
チェックポイントしてまず挙げられるのはタイロッド。さらにセンターロッドが劣化するとステアリングの遊びが大きくなってしまう。アイドラアームに備わるブッシュも経年劣化していくので定期的に交換する必要がある。ドラックリンクと呼ばれるアームも要チェックポイントだ。
メルセデス・ベンツではステアリングダンパーが装着されていて、劣化が進むとステアリングが安定しなくなる。部品点数が多い分、メンテナンスする箇所も多岐に渡るというのがリサーキュレーティングボール式なのである。

オイル漏れが発生しやすいポイントは?

この世代のメルセデスは油圧式のパワーステアリング機構を持つため、オイル漏れが多い。定番のポイントとしては、リザーバタンクのキャップ、パワステホース、パワステポンプ。とくに大きな油圧がかかるホースのかしめ部分から漏れるケースが多い。ポンプはゴムシールの劣化が原因なのだが、それを交換するにはオーバーホールをするか、新品に交換するしかない。
ステアリングギアボックスから漏れ出すケースもある。原因はゴムシールの劣化であり、年式的に見ても、リサーキュレーティングボール式はオイル漏れを起こしているクルマが多い。オイル漏れはにじみ程度なら問題はないが、ポタポタと垂れる状態が悪化すると油圧が低下し、パワステポンプやギアボックスに多大なダメージを与えてしまう。早めに対応すればパワステホースだけの交換で済むケースも多い。
また、エンジンが温まる前にステアリングを切ったときに「ウィーン」という音が出たら、パワステフルードが不足している可能性が高い。リザーバタンクを確認してオイル量が不足していれば補充してやることも大切なメンテナンスだ。パワステフルードは2年を目安に交換し、フィルターも同時に替えておくこと。こうした基本的なメンテナンスもステアフィールを改善するポイントになってくる。

パワステフルードは2年を目安に全量交換しておくこと。フィルターがあれば、これも同時に換えるのがセオリーだ。

上質なステアフィールのキモは高精度のボールベアリング

リサーキュレーティングボール式のステアリングギアボックスは、高精度なボールベアリングを使ってメルセデスらしい上質なステアリングフィールを生み出している。オイル漏れがひどくなってきたらオーバーホールが必要になる。オーバーホールのポイントになるのはボールベアリングの交換。ギアボックスをバラしていくとボールがゴロゴロと出てくる。ギア自体は丈夫なのだが、ボールベアリングのほうが先に磨耗するのでこれを新品に交換すればフィーリングが改善するのである。ステアリングの遊びを調整するのも重要なポイントだ。
パワステポンプにも気を配る必要がある。このポンプはメーカーからオーバーホールキットがリリースされていることが一般的なパーツで、多くのモデルでオーバーホールが可能だ。その内容は、他のオーバーホールと同様に分解・洗浄・点検が基本となり、ゴムシールやパッキン類を新品に交換することも同様である。
点検すべきポイントは、ポンプ内部のローターに組み込まれたベーンと呼ばれる小さな金属部品。これが摩耗すると、メインシャフトにガタが生じて、やがてその周辺に大きなダメージを与えてしまう。
オイル漏れを直すためにゴムシールやパッキン類を新品に交換するのは当然なのだが、それだけではパワステポンプのオーバーホールとしては不完全。ベーンの状態をひとつひとつ丁寧に点検し、摩耗がひどいものは交換しなければならない。また、ベーンは方向性を持つパーツなので組み方を間違えるとポンプトラブルに繋がるから、作業は知識や経験が豊富な専門のメカニックに依頼するようにしたい。

ギアボックスを分解するとボールベアリングが出てくる。これを新品に交換してやるとフィーリングが向上する。
パワステポンプは分解整備ができるクルマが多い。消耗品の交換だけではなく、各部を徹底的に洗浄することも重要な作業だ。
ローターに組み込まれている小さなベーン。これが磨耗して劣化が進むとメインシャフトにガタが発生し、やがてローターが焼きついてしまう。

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