メルセデス・ベンツ

メルセデス・ベンツ ワゴンモデル特有のメンテナンスポイントとは?

メルセデス・ベンツのラインナップに初めてステーションワゴンが加わった1978年から、リアサスペンションに装備されているのがセルフレベライザー。近年ではエアサスペンションが主流ですが、この記事ではガス圧と油圧を使ったワゴン専用メカ二ズムに加えて、ワゴン特有のメンテナンスについて解説します。

目次

例えば、Eクラスのワゴンモデルには、そのルーツとなる78年に登場したW123ワゴンの時代からリアサスペンションに油圧式のセルフレベライザーが組み込まれている。重い荷物を積んだ時にリアが下がってヘッドライトが上を向いてしまうのを防ぐためのシステムである。
エンジンで駆動するポンプで発生した油圧と、アキュームレーターの内部に充填されたガスの圧力を釣り合わせて、ショックアブソーバー内部の油圧を調整して荷重に関わらず車高を一定に保つというもの。アキュームレーターの内部はダイヤフラムと呼ばれるゴム製の膜で仕切られていて、奥側にあるガスが反対側のオイルを押すような仕組みになっている。ちなみにこの基本構造は数十年前に考え出されたもの。W124型500EやW126型Sクラスのリアサスに使用されているものと原理は同じだ。
さて、そのレベライザーで定期的な交換が必要になるのがアキュームレーター。内部のガスが自然リークで抜けてしまい、オイルが鉄球の内部を満たす状態になると、リアが突っ張ったようなポンポンと跳ねる乗り心地になってしまう。通常なら5万㎞程度は持つが、車庫が平らではなかったりすると極端に寿命が短くなるので要注意。ちなみにこのアキュームレーター、W124ワゴンでもW210ワゴンでも部品は共通で、カーゴルームの床板を外して交換する必要があるW124に対して、W210では下回りから簡単に交換できる構造に改められている。
さらに車高を一定に保つのに大切な役割をしているのがレベライザーバルブ。荷重によって車高が下がったことを機械的に感知してバルブを開き、油圧を高める装置だ。乗り心地の変化を感じないのにリアが下がってしまっているような場合は、このバルブが機能していないかもしれない。ただし、並行輸入された部品でも高価なパーツなので、交換するかの判断は慎重にする必要がある。
レベライザーのトラブルで多いのが、ローダウンした時にレベライザーバルブとサスペンションを繋いでいるリンケージロッドの長さを調整していないというケース。荷重がない状態でバルブとリンケージロッドが並行になるように調整をしておかないと、アキュームレーターに常に高い油圧がかかった状態になってガスが抜けてしまう。ローダウンした状態で購入したクルマなどで、アキュームレーターを何度交換してもすぐに圧が抜けてしまうという時は、知識のある専門店でチェックしてもらう必要があるだろう。

黒い鉄球のようなものがアキュームレーター。これはショックアブソーバー1本に対して1つ取り付けられている。内部のガスが抜けてしまうため消耗品だ。
取り外したバルブと新品との比較写真。撮影車両は約7万km走行していて、バルブが固着により機能しなくなっていた。

ワゴンモデルでは、テールゲートへの配線をヒンジ部分で可動処理する必要がある。例えばEクラスワゴンでは左右両側にゴム製の蛇腹チューブが使用され、その内部を配線が通っているが、ゲートを開閉するたびにストレスを受けるのは事実。被覆のビニール素材が強くはないので、この部分で断線が発生して、ナンバーの照明やバックランプ、テールライト、クロージングサポートなどが作動しなくなることがある。テールゲート部分に付いている灯火類が点灯しない場合は、単純な球切れではないこともあると覚えておこう。
またEクラスの伝統としてテールゲートを支持するガスダンパーがルーフの内張り内部に収まっている。古めのクルマではガスが抜けてゲートが落ちてくるクルマも出始める頃だが、交換するには内装をバラすなどかなりの手間が必要になる。
また、テールゲートを閉める時に、ライトバンのようにゲートを思い切り落とすのはよくない。ゲート内部で電球の接触不良などが起きやすいばかりでなく、クロージングサポートのメカニズムを壊すことになる。サポート付きのゲートは、キャッチの部分に乗せるように静かに閉めればキッチリと確実にロックされる。このクロージングサポート機能は壊れていてもゲートは閉められるが、やはりメルセデスワゴンならではの高級感を味わうためにも直しておきたいところ。
大きなエンドマフラーをバンパーのすぐ奥に横向き搭載しているクルマは、このタイコの排気管との接続部分に腐りが発生しやすい。時々下回りをのぞいて状態をチェックしておきたい部分だ。
エンジンルームでは、レベライザーのポンプがパワステポンプと共通になっているのが特長で、フルードも共用となっている。このためワゴンのエンジンには四角い樹脂製のパワステリザーバタンクはなく、乳白色の大きなレベライザオイルタンクだけがセットされている。
容量が多いのは安心だが、パワステラインとレベライザーラインのどちらから漏れ出してもタンクの中身に影響するので、レベライザーオイルの量には日頃から気を配っておくべき。
このように特別に複雑になっているわけではないが、こだわった作りゆえのメンテナンスポイントがあることを、ワゴンと付き合うなら覚えておきたい。

ゴム製の蛇腹チューブ内には配線が通っており、テールゲートの開閉によりストレスがかかりやすい部分。テールランプなどの配線もここにあり、球切れの原因が配線の劣化であるケースも多い。
クロージングサポートの機能部分はテールゲート側の内部に収まっている。力一杯ゲートを閉めると少なからずのダメージを与えてしまうので、取り扱いは丁寧に。

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