FEATURE 輸入車整備特集

ウチの強みはココ

確かな技術とわかりやすい説明
すべてに優しい修理屋さんを目指す

岩手県 | ABM.Labo 丸福自動車
FACTORY DATA
ABM.Labo 丸福自動車
所在地 岩手県北上市口内町新町70
電話 0197-62-4080
HP http://abmlabo.com/
営業時間 8:30~17:30
定休日 日曜日・祝日・第2土曜日
車検基本料金 15,000円~23,150円円
代車 有り(無料)
得意なメーカー VW、BMW、メルセデス・ベンツ

ATの修理だけでなく、総合的なサービスを

オートマチックトランスミッションサービスジャパン(ATSJ)なるフランチャイズを設立し、その東北地区担当として1999年に「ATサービス東北」を屋号に加えた丸福自動車。そんな同社が、新たに輸入車専門を謳う整備工場「ABMラボ」を起ち上げた。そもそも丸福自動車整備工場として創業し、敷地内にある立派な工場でこれまでも国産・輸入車を問わず様々な整備をしてきている。にもかかわらず「新たに起ち上げた」というのには、いくつかの理由があるからだ。

  • 「丸福自動車と言えばAT修理」というイメージを定着させた、ミッションオーバーホール室。
  • メインとなる工場にはリフトやピット、四輪アライメント診断機などの設備が揃う。
  • 不動車の引き取りや修理後の納車に活躍する積載車を所有する。
  • フロントでは笑顔の女性スタッフが対応。修理の相談や説明は清潔な事務室で。
一つめの理由は、周知の問題。ATサービス東北としての知名度が上がりすぎ、AT専門業者と認識されることが多くなってしまったからだ。同社の強みはあくまでも総合的なサービス。リフトやピット、四輪アライメント診断機といった設備や、全日本自動車整備技術競技大会3位の技術力と経験を、ABMラボとしてユーザーのために余すことなく活かすことを目指している。
二つめは、近年の自動車整備にはコンピュータ診断機が必須なことが理由。これまでのAT修理はリビルドしたATをオーナー(あるいは修理を担当している工場)に送ればおしまいだったが、現代のクルマでは実車に搭載した後に診断機でキャリブレーション(簡単に言うとセッティング)をしないと動かないことがある。そのためATの修理でも実車ごと入庫してもらうケースが増え、それならばまとめて面倒を……という考えからだ。同社はボッシュカーサービスの加盟店でもあり、診断機器も充実。ATのキャリブレーションだけでなく、車両全体の診断までお任せすることができるのだ。
交換した部品は「勉強のため作業終了後にみんなで分解してしまう」とのこと。現在の状況におごらず、常に技術の向上を目指す。写真はバルブが溶けたA4のエンジン。積み替えで不要になったため勉強用の教材になった。

そして最後の一つが、これまでの自動車整備工場の概念を打ち壊したいという思いから。販売店のサービス部門ならまだしも、整備専門工場は気難しく敷居が高い印象がある。そんなイメージを打破するため、同社ではフロントに女性スタッフを揃えることに加え、分かりやすい説明と質の高い修理を心掛けている。メカニック同乗の試乗によるトラブル・不安のヒアリングや、写真による修理箇所の説明など、「すべてに優しい修理屋さん」がテーマ。ABMラボは女性一人でも訪れやすい稀有な自動車整備工場と言えるだろう。
昨今は東北地方も輸入車がかなり増加したが、まだまだ輸入車に対応していない整備工場も多いという。それどころか車両診断機の必要性から、今後は扱えない町工場が増える可能性も高い。そんな中で、確かな技術があり、親身になって相談に乗ってくれるABMラボは心強い味方になってくれるはず。困ったときに頼りたい存在である。

  • ABMラボはボッシュカーサービス加盟店。車両診断機(写真左)だけでなく、エンジンをかけずに車両診断できるよう、安定した電力を供給してくれるバッテリーチャージャーBAT490(写真上)も用意。
気さくな人柄で、丁寧で分かりやすい説明をしてくれる阿部優一取締役部長。奥様用のVWポロを運転することもあるそうで、耐久性が不安視されるDSGは「ATと比べると違和感はあるが、今のところトラブルはない」とのこと。
最近多い修理事例
アウディ A4
1 ブローバイホース
アイドリングが落ち着かない、吹け上がりがイマイチといったエンジン不調は、ブローバイホースに入った亀裂が原因なことも。高熱に晒されるエンジンルームのゴム製品は消耗品と考え、潔く交換を。
2 クランクシャフトシール
意外に多いのがオイルシールの劣化によるオイル漏れ。ヘッドカバーやチェーンテンショナーは定番だが、クランクシャフトのリア側のシールがダメになることも。交換にはATを降ろす必要がある。
3 エンジンのバルブ
さすがに頻繁にあることではないが、エンジンのバルブが溶けてしまうという重大トラブルも発生している。これはオイル管理がずさんだったため、稼働部分の潤滑が不足したことが原因と考えられる。

ブローバイホースに亀裂が入ると余計な空気を吸ってしまい、エアマスで計測した空気量と誤差が生じエンジン不調に陥ってしまう。

小さな異音の段階なら粘土の高いオイルで一定の対処も可能だが、ここまでいってしまうとエンジンオーバーホールすることに……。

2年、2~3万kmごとのATF交換を推奨!
ATサービス東北でもある同社お勧めの整備は、やはりATF交換だ。近年のクルマはATF交換の指定サイクルが異常に長かったりするが、2年あるいは2~3万kmに1回のペースで交換するのが望ましいという。長期間交換していないクルマのATF交換については否定的な意見もあるが、同社ではオイルパンを外して古いATFを抜き、大量のATFで洗浄をするなど、特殊な方法で対応する。ただし、ATF交換は事前にテストドライブして、すべきかどうかを確認してから。既に滑ってしまっている場合などは、根本的な修理を提案することもあるそうだ。
ATを得意とする同社らしく、ATFチェンジャーは複数台用意する。写真左にあるチェンジャーはCVT用、右は通常のAT用だ。