一つめの理由は、周知の問題。ATサービス東北としての知名度が上がりすぎ、AT専門業者と認識されることが多くなってしまったからだ。同社の強みはあくまでも総合的なサービス。リフトやピット、四輪アライメント診断機といった設備や、全日本自動車整備技術競技大会3位の技術力と経験を、ABMラボとしてユーザーのために余すことなく活かすことを目指している。
二つめは、近年の自動車整備にはコンピュータ診断機が必須なことが理由。これまでのAT修理はリビルドしたATをオーナー(あるいは修理を担当している工場)に送ればおしまいだったが、現代のクルマでは実車に搭載した後に診断機でキャリブレーション(簡単に言うとセッティング)をしないと動かないことがある。そのためATの修理でも実車ごと入庫してもらうケースが増え、それならばまとめて面倒を……という考えからだ。同社はボッシュカーサービスの加盟店でもあり、診断機器も充実。ATのキャリブレーションだけでなく、車両全体の診断までお任せすることができるのだ。
そして最後の一つが、これまでの自動車整備工場の概念を打ち壊したいという思いから。販売店のサービス部門ならまだしも、整備専門工場は気難しく敷居が高い印象がある。そんなイメージを打破するため、同社ではフロントに女性スタッフを揃えることに加え、分かりやすい説明と質の高い修理を心掛けている。メカニック同乗の試乗によるトラブル・不安のヒアリングや、写真による修理箇所の説明など、「すべてに優しい修理屋さん」がテーマ。ABMラボは女性一人でも訪れやすい稀有な自動車整備工場と言えるだろう。
昨今は東北地方も輸入車がかなり増加したが、まだまだ輸入車に対応していない整備工場も多いという。それどころか車両診断機の必要性から、今後は扱えない町工場が増える可能性も高い。そんな中で、確かな技術があり、親身になって相談に乗ってくれるABMラボは心強い味方になってくれるはず。困ったときに頼りたい存在である。
-
-
最近多い修理事例
アウディ A4
アイドリングが落ち着かない、吹け上がりがイマイチといったエンジン不調は、ブローバイホースに入った亀裂が原因なことも。高熱に晒されるエンジンルームのゴム製品は消耗品と考え、潔く交換を。
意外に多いのがオイルシールの劣化によるオイル漏れ。ヘッドカバーやチェーンテンショナーは定番だが、クランクシャフトのリア側のシールがダメになることも。交換にはATを降ろす必要がある。
さすがに頻繁にあることではないが、エンジンのバルブが溶けてしまうという重大トラブルも発生している。これはオイル管理がずさんだったため、稼働部分の潤滑が不足したことが原因と考えられる。
2年、2~3万kmごとのATF交換を推奨!
ATサービス東北でもある同社お勧めの整備は、やはりATF交換だ。近年のクルマはATF交換の指定サイクルが異常に長かったりするが、2年あるいは2~3万kmに1回のペースで交換するのが望ましいという。長期間交換していないクルマのATF交換については否定的な意見もあるが、同社ではオイルパンを外して古いATFを抜き、大量のATFで洗浄をするなど、特殊な方法で対応する。ただし、ATF交換は事前にテストドライブして、すべきかどうかを確認してから。既に滑ってしまっている場合などは、根本的な修理を提案することもあるそうだ。